3.19.2011

ベイルアウト!

本国のHQから予告なしで移転命令が下り、管理職含め社員の三分の一ほどが一両日中に西へ移動する事となった。
行き先は、二転三転した挙句にやっと西国の某都市に決定。移動した社員は、当面は割り当てられたホテル住まいとなる。
各組織とも移動人員数が割振られた状態で指示が下り、そこから人員選定および申渡しまでわずか30分という荒業。移転する可能性を前もって知らされていた管理職はともかく、突然通告されたスタッフは呆然とする他はない。

心配していた女性スタッフの「業務命令拒否=退職」は少なくとも現時点では発生していない。これは、
移動対象に選定されたのが独身と子供なしであった事(意外とおひとりさまが多かった…)、
これはあくまで原発の状態が落ち着くまでの期間限定措置であると強調されていた事、
移動期間中も東京との定期的な人員ローテーションや週末の一時帰宅費用負担を「考慮する」※1とされた事、などが奏功している。
誰もが原発の状況を少なからず不安に思っている事も大きいが、あまりに急な話で事態がよく把握できていない為、というのも確かにある。説明を受けた多くは、期間1-2週間程度の長期出張に似たものと考えている節がある。多分その程度では済まない。

少なくとも原発が落ち着いて政府が安全宣言を発するまでこの措置は継続する筈だから、期間は事実上の無期。
1ヶ月かもしれないし、3ヶ月かもしれない。もしかしたら1年になるかもしれない。
移動の準備でばたばたしている今はそこまで考えが及ばないだろうが、業務が落ち着くにつれて先が見えない状況に嫌気が差して辞めてしまうスタッフは続出するだろう。何しろ会社が慌てて押さえたオフィス環境は劣悪でインフラ整備もままならず、仮住まいならともかく、とても長期にわたる勤務に耐えられるものではない。管理職ならともかく、スタッフにそこまでのロイヤルティを期待するのは無理というものだ。
現場監督にあたる管理職を吊るし上げてガス抜きする位ならまだいいが、この移動措置が終了するまでにばたばたと退職されてしまうのが一番困る。

退職で不足した人員を東京から送る→繰り返すうちに東京が手薄になる→東京撤退で完全移転
退職で不足した人員を現地採用する→繰り返すうちに現地社員が増え、逆に東京に戻れなくなる→本社二分体制が固定化

いずれも望ましい事態ではない。後者となった場合も遠からず前者に転ずるだろうし※2、そうなれば自分も退職を余儀なくされる。しかし状況が長期化するにつれ、このリスクは右肩上がりで高まっていく。
被災地も心配、原発も心配、この上己の身の振り方まで心配したくはないのだが。



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※1 「約束する」ではないところが大人の答弁。
※2 現地固定がはっきりした時点で今度こそ大量の退職者が発生するのは間違なく、また同等の機能を持つにいたったオフィスを二つ置く位ならば東京を撤収して一つに纏めてしまおうと考えたとしても少しも不思議ではない。現に営業部門だけを残して東京から完全に撤収し、低コストな地方都市に本社機能を移転してしまっている同業他社は幾らでもある。

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