2017年3月21日火曜日

家を買うことは投資か

発展著しいムサコのタワマン群。本文と画像は関係ありません。多分

別にタワマンをディスりたい訳ではないのだが、なんといってもこれまで人類史に存在しなかった形態の未知の住居であればこれから起こるであろう出来事もすべて未知の出来事、起きる問題も未知の問題。
なので単純に興味深いというだけで他意はない。

で、今回興味を惹かれたのはタワマン住民の意識調査について書かれたこの記事
内容を要約すると、

・タワマン住民の多くは初めから一生住むつもりはなく、買い替えを計画に入れた上で物件を購入している
・購入者は古くなったタワマン物件がババ抜きのババになるリスクをしっかり把握していて、住居として「美味しい時期」が過ぎたら早々に足抜けすることを視野に入れて購入している

なるほどね。
であればその資産価値に敏感にもなるだろうし、資産運用の一環として住居購入を考えればそもそも買ったほうが得か借りたほうが得かというレベルから真剣に検討するだろう。
購入派と賃貸派の終わることなき論争やそれをテーマにした記事が専ら金勘定の話ばかりで、住みたい家に住むことで得られる充足とかQOLの向上とかいう視点が置き去りにされているのに常日頃から違和感を感じていたのだが、タワマン購入者およびその予備軍を想定して書かれているとなればこれも合点がいく。

そもそも家を買うのも資産運用の一環ととらえれば、そりゃあ自分の好きな家に住みたーいとかそんなセンチメンタルなことは言ってられない。絶えず相場をチェックして売り時になったらすかさず売る。値段が下がる前に売る。
損しないように。
資産価値が下がるから我が家であっても内装には手を付けず、出来れば画鋲の一つも打たず、出来るだけ買ったままの状態を綺麗に保つことをテーマに日々を送る。
損しないように。

それはそれで賢い生き方なんだろうしそれを否定するつもりは毛頭ないが、であればやっぱり賃貸でいいんじゃないのと思ってしまう。注文で家を建てる人の多くは理想の住まいに対する思い入れがあって、その実現を目指して建築事務所の門を叩くのだろうけど、それとは対極のクールでスマートでドライな住宅観がそこにある。

家は資産。家を買うことは投資。買い時になったら買い、売り時になったら売る。
賢いのかね。賢いんだろうね。


2017年3月20日月曜日

おろしや国一週間(6)12月12日 土産を買いにアルバート通りへ



月に照らされたクレムリンを後にすると次はガイドブックによると「モスクワの渋谷」であるというアルバート通り方面へ向かう。
モスクワの渋谷。本当か?

クレムリンを背にまっすぐ西に向かいノーヴィ・アルバート通りを歩くと右手にドム・クヌーギ。フランスでのfnacに相当する大型総合書店で、こういうところにも土産に最適な小物が売っていたりする。



少し寄っていこう…しかし通りを渡れない。モスクワの道路整備は徹底していて、街の中心部を外れて走るこういった幹線道路に信号は皆無。ではどうやって渡るかといえば、数百メートルに一か所設定されている地下道を通っていくしかない。画像では目の前に見えるドム・クヌーギにたどり着くのにここから300mほど歩いて地下道を渡りまた300m戻って来るという、車には便利だが歩行者にはなかなか不便な街づくり。地下道は全て階段でエスカレータやエレベータは皆無、バリアフリーどころかバリアだらけ。
行ってこいで入店したドム・クヌーギでは薄手で嵩張らないオリジナルのショッピングバッグや変なペンなどをライト土産にピックアップしてレジに向かう。

と、レジに立てかけてある本の帯の顔に見覚えが。



顔写真の下にロシア語で「こんまり」。近藤麻理恵さんじゃありませんか
つまりこれは「片付けの魔法」だ!

この後に訪れるサンクトペテルブルクのドム・クヌーギでも平積みになっているのを目にしたこの本、ロシアでもかなりの話題作らしく帯を見ると5000000の数字。世界で500万部の大ヒット作と書いてあるのだろう。
すごい。世界のこんまり。今のモスクワでは本田より有名な日本人ではなかろうか。
しかし家が片付かなくて困ってるのは日本人だけでないのね

そしてトランプも大人気


ドム・クヌーギを出ると南に向かいアルバート通りにたどり着く。
えーとガイドブックによれば若者が集まるモスクワの渋谷。ないし原宿と。
んー違います。笑



んー確かに歩行者天国の大通りで若者が多くてアパレル店がそこそこあったりするのだが、原宿というより地方都市のアウトレットパーク的な長閑な感じ?
ちなみにロシアの若者、全然お洒落じゃありません。
それこそ渋谷原宿あたりとは比べ物にならず。素材はいいのにねえ


路面で絵を売る

この程度のそこそこいけてないショッピング通りに興味はないので普段はスルーするところだが、今回立ち寄った理由は買い付けを頼まれた土産物を物色するため。

まずはシュカトゥールカ、一言でいえば塗りの小箱。
結構な手間がかかるらしく小さくてもいいお値段がするのでライト土産には向かない。
シュカトゥールカやホフロマを大量に並べているのが、アルバート通りを進むと左手に見えてくるアルバーツカヤ・ラヴィーツァ


店内はやや殺風景だがシュカトゥールカとホフロマの充実ぶりは恐らくロシア随一。
一階はどこもかしこもこんな感じ


シュカトゥールカの絵柄はロシアの昔話を元ネタにした人物像が多いが、自分の趣味としてクレムリンの塔をモチーフにした長方形の箱を選択。

自分のお買い上げ跡地がぽっかり空き地になっている中央手前


続いてマトリョーシカは通りの入り口付近右手にあるミール・スーベニーロフで購入。販売の兄ちゃんは完璧な英語を操り愛想も抜群で慇懃な物腰。ロシア人らしくなく実に気持ち悪い。笑


邪魔にならないよう小さいサイズを選ぶが、マトリョーシカの価値は大きさよりも入れ子の数で決まり、当然入れ子が多い多層構造になっている方が上等なマトリョーシカで値も張るとのこと。

お買い上げの跡地が空き地
ここで買ったマトリョーシカは高さ5cmほどの小さなものにもかかわらず9層構造。お値段4320ルーブルで約一万円。細工の精密さを見ればまあ納得できるように思えるが、値段的にライトとはいいがたい。しかし安物のマトリョーシカは絵付けが適当で顔も不細工なのが多いので、どうせ買うならあまりケチらないほうがいい。




土産調達ミッションを終えてアルバート通りをぶらぶら進むと、何やら通りに沿って昔のスチール写真が引き伸ばされて展示されているのが見えてきた。
見ると独ソ戦におけるモスクワの様子を撮影したタス通信の展示物で、一時はドイツ軍に20km足らずまで迫られ陥落寸前となった当時の首都の緊迫感がありありと伝わってくる。日本ではなかなか目にすることができない貴重な写真。



ナチスドイツの宣戦布告を告げるアナウンサー

モスクワ市街の防空体制
来るべき首都攻防戦に備えて設けられたバリケード

タス通信の壁新聞を見入る人々
原爆を二度も投下され沖縄が戦場になった日本が第二次世界大戦で最も大きな損害を受けた国と勘違いしている人も多いかもしれないが、少なくとも数値の上では桁外れに大きな損害を被ったのがソ連次いでドイツ。
戦闘の規模も戦死者数も一般市民の犠牲者数や戦争終結後の悲惨な運命も、日米のそれですら比較にならない人類史上最も大規模かつ凄絶な戦争、それが独ソ戦。
紙切れ一枚の証拠もないのになぜか年々犠牲者が増えていく南京ゲフンゲフンとか、そんなファンタジーなど入り込む隙間もないほどの悲惨な現実。この辺は近くにいるWW2オタに聞けばもう幾らでも語ってくれるだろう


ハードロックカフェもこの通り沿い
妙に可愛らしいプーシキンのアパート

の傍で寒そうなプーシキン像


アルバート通りの締めでロシア語表記のスターバックスに入る 。
ロシア土産の新定番となりそうなのが、ここでしか買えないマトリョーシカ仕様のマグボトル。
日本円にして1500円程度なのでライト土産にも丁度いい※1
「お金払うからマトリョーシカ買ってきて!2000円位のでいいから」と頼まれたならしょーもないレベルの安物マトリョーシカを買うよりここでマグを買って帰る方が余程気が利いている。と思う。


しかしスタバってのは店内の作りも店員も客層も、世界のどこの店に入っても似たりよったりなのなのが凄いね。良くも悪くも



下から二段目に例のアイテム
MとLの2サイズ展開

そして似たりよったりな客層



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※1 日本のロシア物販サイトでも購入できるがここで買う三倍くらいする。送料込みで5000円位。次に行くときには代理購入を受け付けようかしら一個3000円位で

2017年3月12日日曜日

二代目シンボルツリー植樹

72回目の東京大空襲の晩から空けた翌日、枯死してしまった夏櫨に代わる新たなシンボルツリーを植樹。
高さ約180㎝と先代の夏櫨よりやや小柄だが株立ちの幹はしっかりと太く、特徴の一つである白樺に似た樹皮もよく確認できる。




暑さや乾燥に強く病気にも丈夫な低木の落葉樹、という条件で探して該当した数少ない樹種の一つがアオダモ。先代が枯死した原因は定かでないが、猛暑にやられたのだとすれば選定にあたってこの条件は外せない。今回は根乾き対策で土も増量し土壌改良も徹底。これで駄目ならば、次に植えるべき木は禁断の木といわれる竹くらいしかないねえ。

きのこの家見学会

三月最初の週末、satosatoのTさん宅にて新築見学会。
きのこの家と名付けられたその家は重厚な三角屋根と巨大アンテナが特徴の、大変風通しが良さそうなワンルーム。テーブルににソファにソファベッド、キッチンには三口コンロがあり意外に充実している。




見学会の終わりにジンギスカン鍋で仔羊の肉などご馳走になる。
詳しくはS氏のブログで


2017年3月3日金曜日

おろしや国一週間(5)12月12日 駆け足で二度目のクレムリン

失意を抱えドルゴプルドニからモスクワに戻ると冬の太陽は既に大きく西に傾いている。最後の日がもうすぐ終わることに焦りつつクレムリンに直行。チケットを購入して内部に入ると駆け足で正教の寺院を回る。


入口のスパスカヤ塔をくぐると、右手に6000人収容のクレムリン宮殿。
中央てっぺんに双頭の鷲の国章※1が金色に輝く。ガラスとコンクリートがお洒落なモダン建築。



クレムリン宮殿を抜けると葱坊主屋根の正教協会が立ち並ぶ。
イワン雷帝他皇帝の納骨堂を兼ねているアルハンゲリスキー大聖堂、ウスペンスキー大聖堂、ブラゴヴェシェンスキー寺院に高さ81mのイワン雷帝の鐘楼。
















寺院の内部に入ると各国語ガイドが置いてあるが、ここでこの国における日本のプレゼンスの弱さを目の当たりにする。どういうことかというと、


中央に英語版。それを囲む右上から時計回りにロシア語版、中国語版、スペイン語版、イタリア語版、ドイツ語版、またロシア語版、仏語版、韓語版。終わり。
日本語版はない。(少なくとも観光業においては)この国でアジアといえば中国、そして韓国。日本など三番手以下なのだ。

日本にいて「海外が日本を絶賛!」みたいな気持ち悪いバイアスがかかったインターネッツ記事ばかりを目にして勘違いしちゃいけない。日本が大きな顔をできるのはあくまでアジア限定の話であって、欧州では今も昔もてんで存在感がない。日本のポップカルチャーが人気といってもあくまでオタクのサブカルとして人気という話であって、いわゆる一般的な人気とは程遠い※2。単に認知度で言えば中国の足元にも及ばない※3。そんなどこの馬の骨みたいな連中が遠くから「ホッポーリョードカエセー」とかキャンキャン吠えたところでタフなロシア人が相手にするわけないよね。というのを肌で感じるのだ

隣接して大統領府。主は日本出張中
ロシア国旗が翻る


世界最大の鐘


出たり入ったりしているうちにとっぷり日が暮れた。閉館時間になったので急いでクレムリンを後にする

再びクレムリン宮殿の横を抜けて

お帰りは赤い星の光るスパスカヤ塔から


クレムリンおしまい!

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※1 双頭の鷲はローマ帝国のシンボルであり、またかつて存在した神聖ローマ帝国、プロイセンとオーストリア帝国の国章でもある。つまり現代における(西)ローマ帝国の正当な後継国というのがロシアのアイデンティティ。その一方でルーマニアもまた国章と国旗に双頭の鷲をいただき、国号Romaniaからして我こそはローマの後継国と声高に主張している。ただしこっちはビザンティン帝国から受け継いだ東ローマ帝国の流れ。なので現在も世界には二つのローマ帝国(の後継国)が存在する。
※2 村上春樹だけは別で、若者中心に一般的な人気を博している。それともう一人、この国で意外な日本人著者が大ブームになっているのだが…それはこのあとのエントリで
※3 今回の旅を通しても同胞の旅行者を目にした機会はたったの二回、人数で言えば三名。中国人は軽くその100倍以上は見かけた。日本人にとってロシアは今でも近くて遠い国。もっと行こうよロシア。怖くないから