6.05.2011

弱者ビジネス(4)

結局まともな回答は得られなかったが、大体のところは分かった。

要するにこれはあくまで貸し手に向けた「家賃保証サービス」であって、サービスの享受者は貸借人ではなくて不動産会社(大家)なのだ。
彼らは家賃保証サービスを間に入れる事で、これまで負っていた滞納時の手続きにかけるコスト(連帯保証人への連絡や支払い交渉、請求手続きや強制執行)や回収が焦げ付いてしまうリスクを回避できる。
家賃の滞納が判明したら、家賃保証サービスに電話一本するだけでいい。
滞納している家賃はすぐに振り込まれ、上述の面倒くさい手続きはみなあちらがやってくれる。
明確なメリットだ。要するに債権回収代行サービス※1と同じ事。

普通であればサービスの享受者である不動産会社がサービス料を支払うのが当たり前なのだが、
いかにもサービスの享受者が貸借人であるかのように見せかけて実際は何の恩恵も受けていない貸借人にサービス料金を負担させているところが肝。
不動産会社にしてみればいい事尽くめだ。こんなうまい話に飛びつかない訳がない。

しかし、このからくりに気づいたところで仕方がない。
この国において「貸し手」と「借り手」の立場は対等ではない。言うまでもなく、圧倒的に前者が有利。
こんな訳の分からない契約でも
「嫌なら貸さないよ」
と言われれば借り手は逆らえない。不承不承でも飲むしかないのだ。


「家賃保証サービス」の実体は弱者を食い物にする弱者ビジネスの一形態に過ぎない。
こんなビジネスが大手を振ってまかり通っているようでは、

不動産業=胡散臭い=堅気の商売じゃない

という巷間の偏見が改められる日はまだまだ遠かろう。いやあながち偏見でもないしな。


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※1 自分が銀行から融資を受けた際に「債権回収代行手数料」という名目の費用は請求されていない。当たり前だ。まだその業務は発生していないのだから。

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