1.31.2011

再塗油

角度の低い冬の陽射しに照らされて、床に塗布した油がところどころ薄くむらになっているのが目立つようになってきた。
思い立って久しぶりに再度「匠の塗油」を床に塗る。
入居前にやったのとは違い、今回は生活の場に施工する訳なので、小さな家といえども全てを一時に塗る事は出来ない。
大物の家具はさすがに動かせないが、テーブルや鏡など小物をずらしてまずは二階の床半分に塗布。
来週末には残り半分、その次にはまた二週かけて一階の床に塗りこむ事とする。
久しぶりに家中が荏油の香りで満たされている週末。

3月末の入居から10ヶ月が経過しての内装メンテナンスは他にもあり、壁に塗った漆喰塗料の巾木との境目部分の剥がれやひび割れ、巾木にこびりついた荏油落としなど、幾つか補修したいポイントがある。
この家は綺麗に仕上がった完成品として受け取った訳ではなく、内装は自分でラフに仕上げた※1家なので、細かな補修もまた想定の内。元がピシッと綺麗に仕上がっているわけではないので補修で多少のむらが生じようと気にならないし、それでいい。
初めから完成しきって住み手が手を出す余地のない家など面白くない。
あれやこれや手をかけながら綺麗に使い込んでいき、やがて古道具のような艶を出す事が出来たら最高だろう。

新品のピカピカは一年も経てば消える。
いぶし銀の鈍い光を発するようになるまで、掃除はまめに、そして物は努めて少なく。
暮らしの場である家を綺麗に使い込むのは容易ではない。日々精進あるのみ。
自分の場合は持ち物減らしが大変なんだなーこれが。





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※1 「ラフに仕上げた」。拙い素人仕事の美しき言い換えですね。同様の表現に「シャビーな(ボロい)」「ふくよかな(デブ)」「純朴な(イナカくせえ)」「いい人(彼氏にはできない)」「飲まなきゃいい人(単なる酒乱じゃん)」など。

1.30.2011

ウォーターベッド

風呂に入ると浴槽で朝まで寝てしまう悪癖はどうにかならないものか。
一日の最後に風呂に入るから疲れて寝てしまうので、帰宅してすぐに入るように順序を入れ替えればいいのかもしれないが、居候の世話(運動時間、トイレ掃除、給餌で二時間コース)は入浴の前に済ませておきたいし、そうなるとやはり一日の締めくくりに風呂という事になるのだが、疲れもあって浴槽で身体を温めているうちについ寝てしまう。目が覚めると朝になっている。この繰り返し。いかんいかん。

ガス代もさぞや…と戦々恐々としていたところ、東京ガスから来た請求書の金額は思いの他リーズナブル。
以前は冬でもシャワー、しかし寒いので常に湯を出しっぱなしという入浴スタイルだったので、ガス代も水道代も冬になると跳ね上がっていたものだ。賃貸マンションの小さなユニットバスはとにかく貧相で、狭くてくつろげないしビニールのカーテンは冷たくて不快だしすぐに湯が冷めてしまうのに追い焚き機能もないしおまけに汚いしで、どうにも風呂に入ろうという気にならなかったのだ。まあ汚いのは自分のせいなんだけど。

朝までぐっすりなど望むべくもないあの頃に比べれば、今の入浴環境はどれだけ豊かになった事か。
家を建てた事で一番向上したQOLはバスライフかもしれない。
しかし寝るのはやめておこう。危ないし

1.26.2011

小さな家の税金

2009年3月に取得した土地の不動産取得税は既に支払い済みだが、その一年後に完成した家屋の不動産取得税は都税事務所による家屋調査の目処が立っていない
昨夏以来暫く放置していた都税事務所から再び文書が届く。
「家屋調査への立会いの都合がつかなければ必要文書(建物の見積書、平面図など)を提出すればそれと外からの現況確認をもって税金を算出する」とある。
なんだ最初からそう言えばいいのに。


早速書類を郵送する。床面積がかろうじて50㎡を超えるこの家は新築住宅に対する不動産取得税軽減措置の対象となる。即ち、通常であれば「建物価格の3%」が不動産取得税として課せられるところ、建物価格から1,200万円が免除され「(建物価格-1,200万円)×3%」が取得税となる筈だ。
どの程度にまで安くなるか楽しみに待つ事二週間、都税事務所から電話が。


「算定の結果、建物の不動産取得税は免除となりました」


あっそう。ってええええ
それは幾らなんでもディスカウントしすぎだろ。そこまで安かないぞ。

よくよく確認してみると、税務署が税金算出の根拠となる「住宅価格」は実際の工事費ではなく、独自の「固定資産評価基準」に基づいて算出されるらしい。
彼らの評価基準に拠って見積もったこの家の価格は丁度免除額と同額程度となったというのが不動産取得税免除の理由。

実際にかかった費用とは相当な乖離があるので些か面白くない気もするが(本当にそんな金額で建ったならどんなに楽なことか)、ともかく税金など安いに越したことはない。まずはめでたし。
これも小さな家※1によってもたらされた思わぬ恩恵。
いや小さいってのは便利だね。

引き続き、支払い済の土地の不動産取得税の減免(還付)請求書類を送付する。
税金の徴収には並々ならぬ執着を見せるが、税金の還付にはまるで興味がないというのが税務署の常。
世知辛い話だが、知らない者は損をするというのもこの世の常だ。


これら不動産取得税軽減の肝となるのは建物の床面積で、50㎡が軽減措置を受けられるかそうでないかの分かれ目となる(自分が設計の打ち合わせで50㎡の確保に拘った理由がこれ)。

小さい家は好ましいが、小さすぎてもいけない。
いやいけないって事はないが、少しばかり損をする。
都内であれば狭小地といえどもそれなりの額になるので、税金もそれなりの額に達する※2
これから小さな家を建てようとする人は頭の片隅にでも憶えておくのがいいだろう。



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※1 加えて木造であるのが効いている。これが鉄骨やRCの家であればそれなりに高く見積もられ、幾らLWHといえども取得税ゼロでは済まなかった事だろう。実際の工事費も木造より高くつくのだから当然と言えば当然か。
※2 この小さな家と小さな土地ですら、軽減される税額は軽く数回分の車検費用に相当する。

1.25.2011

天気予報が外れ、退社する頃には冷たい雨が降りしきっている。
基本的に雨の日は乗らないと決めているが、この状況では仕方ない。通勤号を雨の中放置するには忍びないという事で、用意しておいた合羽に身を包むと、そぼろ降る雨の中を敢然とペダルを漕ぎ始める。
ゴム引きの軍物の合羽はさすがに防水性は完璧、だが通気性も皆無なので普通であれば蒸れて仕方がないところだろうが、この低温下ではその保温具合が丁度いい塩梅で、全く寒い思いをする事もなく予想以上に快適。
しかし履いている28Cは見るからに雨天走行には適さないスリックタイヤであれば、道中は普段より意識してペースを落として無事帰宅。合羽の背中に盛大に跳ね上がった泥汚れを見て雨具の有用性を再確認。
明日、というか今日は久しぶりに電車通勤かな…めんどくさ。

1.24.2011

ヒートバンテージ補修

昨夏に行った自車の大改修の一環でエギゾーストパイプに巻いたヒートバンテージ。
あれから数えるほどしか乗っていないのにも関わらず、何箇所かで切れたりほどけたりしているのが判明。
物理的に何かに接触する場所でもないだけに全く思い当たるところがないのだが、放っておいて治る類のものではない事だけははっきりしている。とにかく施工したショップに再度持ち込むが、ショップでも原因は分からず首を捻るばかり。そもそもバンテージが切れる事自体珍しい事らしいのだが、とにかく直さなければいけないという事で、切れている上から重ねてバンテージを巻いて貰う。
これで一安心と帰路についた途中に立ち寄ったコンビニでボンネットを開けてみると、補修した箇所とは違う場所でまたもや千切れてしまっているのはどうしたことだ。
当然そのままショップにとんぼ返りして再補修。簡単な修理の筈が随分遅くまでかかってしまった。

原因は今もって不明だが、ひょっとしてアクセルオン/オフでエンジンが前後に動くのに引っ張られて切れてしまうのか。であればブッシュ交換で解決するかもしれないが、他の構造的な問題であれば根本的な解決は難しかろう。いずれにせよこれだけ持ちが悪いのは問題。金も時間も無駄に費やすほど有り余っている訳ではないので、いたちごっこになるようならバンテージは諦めて撤去せざるを得なくなるかもしれない。

ショップで雑誌など読みながら時間を潰している横で、まだ二十代半ば頃と思しき若者が些か緊張した面持ちで「初めてなんですけどどこから手をつけたらいいですか」みたいな初々しい相談を持ちかけて代表の立て板に水トークに聞き入っているのも初々しくて微笑ましい。我々の頃と違って周囲に同好の士も少ないだろうが、頑張ってオタ道に邁進するがよいぞ。

1.20.2011

駅前生活からの開放

ツーキニストになって以来、日々の食料調達先は自宅最寄り駅前のスーパーから隣町の駅遠スーパーにシフト。
自転車通勤路沿いにあるこの店は最寄り駅の駅前スーパーより却って立ち寄りやすく、しかも自宅そばの店にはない豊富な品揃えが魅力。
生活動線が変わると立ち寄りスポットも変わるのは当たり前といえば当たり前だが、面白い。

都内では一般的には自宅と職場の往復には電車が用いられ、
従って平日の生活動線はほぼ「勤務先最寄り駅周辺」と「自宅最寄り駅周辺」に限られる。
駅を中心として街が作られる日本※1では、生活に必要とされる店の多くは駅前に集中して存在し、贅沢を言わなければ駅前の僅かな範囲でほぼ生活が事足りてしまう。例えば平日の夜は駅に降り立つと駅前のスーパーで買い物をし、駅前の本屋で新刊を物色し、駅前のカフェでお茶して時間を潰してから帰宅するような生活パターンがごく当たり前。そこに選択の余地は殆どなく、せいぜいが近隣の二、三件の店からどれを選ぶかという程度。

非常に合理的で便利だが、この予定調和は何というか「お前の生活パターンなんかお見通しだよ」とでも言われているようでどこか面白くない。勿論そんな事を言う者はいないのでただの妄想に過ぎないのだが、この駅の利用者にはこれというお仕着せのような店ぞろえにはどこか反発心を覚えるのも確か。

なので、通勤の交通手段に自転車を用いてこの「駅前の呪縛」から逃れ、駅近とは全く関係ない基準で通いのスーパーを選ぶというだけでも何となく胸がすく思いがするものだ。こんなのでもストレス解消の一環になるのだから我ながら単純というか安上がりな性質というか。


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※1 欧州では教会。

1.17.2011

なんという更新日

外気2℃の中、絶不調の身体に鞭打ってバイクで江東の試験場まで赴いて免許更新手続き。

絶不調の内訳は昨晩食べた牡蠣。
社会人になって間もなく牡蠣に大当たりして以来牡蠣は鬼門だった筈が、少しくらいならいいかと油断して食べた鍋の具がまたしてもヒット。
暫く経って生じた異変に身体が牡蠣を受け付けなくなってしまっているのを悟るが、
時既に遅し。
帰宅する頃にはマーライオン状態になるのを抑えるのが精一杯、一階DKの床の上でうんうん唸っているうちに朝になった。わーい初めて一階で寝たぞー。全然楽しくない。

講習会場では机に突っ伏すようにして30分の講習をともかくクリアし(優良でよかった。二時間の違反者講習はとても無理)、更新された免許を受け取りすぐさま帰路に着く。
食欲は全くないが、寒い・腹減った・眠いとくれば凍死フラグ。さすがにこの寒さには辛抱堪らず護国寺の上島珈琲店にビバーク、黒糖ミルク珈琲で糖分補給。


食欲なし。問題なし。Just do it! 一部大嘘。


しかし…牡蠣はダメだな。もうダメだ。もう一生口にすまい。
さらば牡蠣。


寝よ。

1.13.2011

12年目の車検

早いもので、再来月にはまた車検の時期を迎える。
前回の車検時にはまだ土地を購入してもいなかった。あれから僅か二年とも言えども隔世の感はある。
その前回車検時には大枚叩いてメーターを交換しているので、現在のタコメーターの数値はそのまま前回の車検から今までの走行距離に等しい。
これがまだ3,000km足らず。一年に1,500kmも乗っていないという事になる。
一年の三分の一は暑くて乗れないという事情を差し引いてもこれは些か少なすぎる。
来たる夏までにはもっとドライブを楽しみたい…
という話を友人にする。


「という事で全然乗ってないんだわこれが」

「それ持ってる意味あるのか。売れ」

「誰が売るか勿体無い」

「だって必要ないじゃん」

「必要あるかないかといえば、山手線の内側に住む人間にはそもそもクルマなんか必要ないのだ。クルマは趣味で持っている」

「趣味だぁ?お前の趣味はエロ動画集めだろ」

「歌舞伎町で裏DVD買い付けてる奴に言われたかないなあ。第一それは趣味とは違うし」

「趣味だろ」

「は?なーにを勘違いしちゃってるのかなあこいつは」

「何だよ」

「じゃあ聞くがお前が水を飲むのは趣味か?飯を食うのは趣味か?」

「…」

「違うだろ」

「エロは生活必需品とでも?」

そうです(キリッ

「…アホだこいつ」

「アホとは何だアホとは」

倒産リスクは回避できるか

年始早々に会長が逮捕されたアーバンエステートの詐欺事件
会社は実質的に破綻していながら営業社員の口車に乗せられて多額の前払い金を払い込んでしまった被害者多数というこの事件、人事でないというか人事で良かったというか。派手な宣伝をうっているからといって信用はできないといういい見本。

この会社のように明らかに顧客を騙す意図を持って資金を引き出すのは論外としても、建築設計事務所が工事を委託する業者は大抵が中小の工務店で体力は大手ハウスメーカーと比べるべくもなければ、完成までに会社が倒産してしまうリスクはこの不景気下で注文住宅を志す施主にとってやはり人事でない。
といっても上場しているわけでもない町の工務店の財務諸表の開示を要求するのも難しいだろうし、第一そんなものはその気になれば幾らでも粉飾できる。施主としてはアーバン社のようにやたらと前払い金を多く要求する会社はやめておくという消極的なリスク回避しかとれないのかもしれない。

かくいう自分はというと、これがなんと工事開始時に1割、完成後に9割の支払い。
リスク回避という意味もあるが、これは単純に手元不如意だったので。
銀行は家の完成後にしか融資してくれないし、かといって総工費の半分もの資金が手元にある訳がない。高金利のつなぎ融資も気が進まなかったので(おい)、『豪邸を建てる訳でもあるまいし、財務状態が健全ならばこの程度の負荷は問題ないでしょー』と半ば開き直りつつ厚顔にも全額後払いを申し入れた。
おとといおいでと言われたら受け入れてくれる工務店を探すまで。と思っていたら基本OKと。
ただし全額後払いは勘弁してくれとの事なので、手元の金をかき集めて1割ほどを前払い。
残りは完成後の融資金で支払い。
資金繰りに苦しむ中小工務店が多い中、正直かなり無理を言ったという自覚はある。これは恐らく幸運な例。

ここまで極端なオファーはさすがにいい顔はされないのでお勧めはしないが、家はきっちり完成して初めて価値が認められる、逆に言えば完成までは価値はないという当たり前の事実を考えれば、やはり完成までに前払いする費用はできるだけ圧縮しておきたいもの。
家の建築費用は工事開始時に3割、棟上時点で3割、完成後に4割といった三等分の支払いが一般的。なのでこれを超える要求、例えば着工までに総工費の5割を超える資金の払い込みを要求するような工務店は当座の資金繰りさえ苦しいものと見て回避するに越したことはない。

例え損害額を最小に抑えられたとしても工務店が工事半ばにして倒れてしまうのは施主にとって大ダメージであるのには違いない※1
そもそもそのような事態にいたらない工務店を選ばなければならないのだが、工務店の選定は建築設計事務所にお任せとなる場合が多ければ、建築士を選ぶところから既にリスク管理は始まっている。では健全な工務店を選ぶ眼を持った建築士をどうやって見つけ出すか…結局は施主の人を見る眼が全ての始まりになるのかな。あとは運か
なんだこの身も蓋もない結論は。



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※1 住宅完成保全機構などの自衛策で金銭的なダメージはある程度抑える事は可能だとしても、実際にそのような事態に陥れば家が完成するまで施主は生きた心地もしないだろう。家作りを楽しむどころではない。

1.11.2011

小さな家の暖房その後

二階のエアコンを一階に移設して初めて迎えたこの家の冬。
暖気は軽いので上昇する、したがって一階でエアコンをつけておけば暖気が自然と階下から階段を通じて上昇し、二階も暖まる…との目論見でわざわざ二階のエアコンを一階に持ってきたのだが、いざやってみるとやはり二階が寒い。
目論見ほどには暖気と冷気の循環が起きず、暖気は暖気、冷気は冷気で固まって交流がおきないからだ。暖かい一階から二階に上がる時は頭上に漂う寒冷層に頭から突っ込んでいく感じで、途中で空気の層がひやあっとしたものに入れ替わるのが肌で感じられる。
小さな家とはいえ、全館暖房を実現するには少々エアコンがパワー不足なのが原因なのかもしれない。引っ越す前の部屋で使っていた8畳用をそのまま移設しているからなあ。少し弱いか。

幸い二階に居るのが辛くなるほどの寒さではないが、次の冬は結局二階のエアコン(夏までには設置必須)にもスイッチを入れる機会も度々という事になるのかもしれない。ヒートショックのリスクを軽減する為には一階も暖房しておかないわけにはいかないので、今から電気代が少々心配ではある。うん、気が早い。

1.09.2011

自転車は危険

毎朝自宅から自転車で南下し出社、
仕事が終わると北上し帰宅。
職場のある赤坂までのコースはおよそ二つ。
・防衛省の前から市谷へ、日テレ脇を通って麹町、半蔵門から下って赤坂
・神楽坂から飯田橋駅前を通過、靖国神社の中を通って永田町へ、国会裏から赤坂

分かったのはどのコースでも結局坂道は避けられない※1
特に後者のコースで遭遇する角川書店脇の坂は一番傾斜が激しく、ここはさすがに乗ったままではクリアできない(無理やり走れない事もないが、降りて押したほうがよほど楽で速いという)。
これは結構いい運動になる。冷え込みが厳しい日も漕ぎ出せばたちまち体が温まる。信号待ちの間に息を整えるほどなので、マフラーとグラブさえあればコートは不要。
逆に言えば初夏になるころはもう無理だろう。汗だくで仕事を始めるわけにもいかない。

困ったもので、慣れて来るともっと速い自転車が欲しくなる。
ロードにも魅力的な機種は多い…パーツも…ああまずいまずい。
嵌まらないように、これはあくまで「通勤の足」以上のものではないとして自分の中で一線を引いている。
これを趣味にしてはいけない。嵌まったら最後、バイクにも乗らなくなってしまうかもしれない。大変危険だ。


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※1 きつい上り坂を避けるコースがない訳ではない。飯田橋から九段下を経て二重橋前まで迂回し、皇居を半周して赤坂に辿り着くコース。ただし走行距離は五割増しになるという諸刃の剣



1.05.2011

仕事始めは本日から

正月休みの最終日となる昨日は新しく通勤の足となった自転車の空気圧チェック。
700×28Cのタイヤは細すぎず太すぎず、歩道と車道をめまぐるしく走り回る通勤号としてはいい塩梅のサイズなのだが、やはりママチャリとは勝手が違いこまめな空気補充は不可欠。
なにせ10ヶ月の月賦(懐かしいなこの響き)で購入しているのだ。そう簡単に駄目になられては困る。
ていうかな、そんなもんキャッシュで買えキャッシュで。たっかいロードレーサーならともかく、いい年こいてたかだか74,000円のクロスバイクを10回払いってお前はギターを買う高校生か。いやーY'S ROADで1%ローンとか書いてあったのでつい。金利740円で済むならまあそれもありかなと。


…で、仕事って何だっけ。


…。
…。
(正月休みで完全に仕事の事を忘れている)


ああ思い出した。
折角忘れてたのに嫌な事を思い出してしまった。
…まあ今年も面白がる心を忘れずに仕事に勤しみましょう…


寝るか。
(いまいち盛り上がらない)

適正価格って

新年早々から大炎上し今なお鎮火していない某カフェのおせち騒動。





21,000円のおせちが10,500円という時点で普通は怪しいと思う。
多少纏めて仕入れられるからっていきなり食材が半額になる訳でなし、
バイトの時給を半額に出来る訳でなし。
売り上げの半分を中間のグルーポンに抜かれるのであれば尚更。
企業は儲ける為に商売をしているのであって、わざわざ損をする為にモノを作って売っている訳ではない。
それを考えれば、良くてももともと10,500円相当の品であったと見るのが妥当だろう。
そもそも過去におせち販売の実績がないのならば「通常値段」には根拠がない。嘘だ。

時計ではこの手の定価偽装というのは昔からあって、
過去に消滅した海外名門ブランドの名前だけ買い取った国内の企業がそれを隠して
「あの○○の腕時計定価98,000円が特価9,800円!」とか通販広告を打っているのをよく見る。※1
常識で考えれば98,000円の時計を9,800円で販売して利益が出る訳がない。
むべなるかな、ここの時計を「定価」で売っている店などどこにもなく、こんなものは初めから「せいぜい9,800円」が妥当なメイドインチャイナの安物なのだ(他メーカーの人気モデルを丸パクリしたデザインを見ればおよその察しはつくが)。
時計好きの間では「(笑)」つきでしか口の端に上がる事がないここの時計が友人の腕に光っているのを見た時は困ったね。ネタでしているのならばいいのだが、「一流品を格安で、いい買い物をした」と思っているのならばその気分をぶち壊す権利は自分にはない※2
こんなの「どう?」とか振られても何ともコメントしようがないじゃないか。
「あー…うん、ピカピカしてるね」とか間の抜けた感想をぶつぶつと呟くのが精一杯で、これならなあからさまな贋物の方がまだいい。

定価偽装が罪深いのは、真っ当な値段をつけている他の製造者にまで影響を及ぼしてしまうところ。
食べ物でこれをやられると真っ当な商売をしている業者は困るだろう。悪貨が良貨を駆逐し、気がつけば市場には嘘つきしか残らなくなってしまう事になりかねない。そうなる前に大々的に炎上したのは消費者の為には寧ろ良かったのかもしれない。

しかしそろそろ買う側も「適正値段」というものを考えた方がいいのではないかなあ。
とんでもないおせちが届いた方は誠にお気の毒だが、これが単純に安さに惹かれて飛びついた結果であれば些か軽率であったとの謗りを免れるものでもない。
妥当な値段を払ってまともなおせちを受け取った人も沢山いるのだから。

これまでの人生で知り得た真実の一つに
「高いことには必ずしも理由があるわけではないが、安いことには必ず理由がある」
というのがあって、
一連の家づくりの経験ではこれをつくづく思い知った。
安い土地には必ず安いなりの欠点があって、激安の建売物件もよくよく調べてみればやはりそれなりの理由(いい意味でなく)があるものだ。
こと不動産においては掘り出し物というのはまず存在しない。

さらに言えば、延べ15坪しかないこの小さな家も決して「ローコスト」ではない。
絶対的な大きさが小さいので総コストだけで見れば安く見えるが、坪単価で見れば率直に言って建売とは比較にならない※3
しかしそれはその内訳を知れば当然の話なのであって、比較する方が間違っているのだ。勿論出来る範囲でのコストダウンはお願いしたが、その引き合いに建売の定価を持ち出すほどの野暮は言わないし、言えない。
注文住宅とはそういうもの。しかし施主がみな建売の値段を持ち出して「これで作れ、作れなければ契約しない」と言い出したらどうなるか。まともな工務店は軒並み潰れてしまうだろう。
しかし安さにしか価値を認めない昨今の風潮がさらに蔓延すれば、これが現実のものとならない保証はどこにもない。

いいものはきちんと対価を払って手に入れましょう。


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※1 営業妨害になってはいけないので名は伏せるが…あまりに有名なので伏せるまでもないかな。
※2 この手のモノは直接身に着けるものだけに、一度嫌悪感が湧くともう見たくもなくなるものなのだ。これ一本しか腕時計がないのならばまた買い直すしかないし、さすがに友人をそんな気分にさせて喜ぶほど意地悪ではない。
※3 ライトウェイトハウスはローコストを追求した家ではない。結果としてローコストなのはただ単に小さいからで、底流をなす考えには禅寺とか茶室に近いものがある。

Gachot

新年早々の冬の表参道、
晴天に恵まれた今日は通り沿いの同潤会青山アパートでも布団や洗濯物の干し物が目立つ。
ようやく敗戦の混乱も落ち着きそろそろ主権を回復できそうな見通しに、冬枯れの中を行きかう人々の表情も明るい…





と、これは昭和27年の風景。
昨年の夏に江戸東京博物館で催された企画展「戦後東京の復興展」(だったか)で展示されていたパネルの一枚。

ようやく廃墟から街としての機能を取り戻したものの、高層ビルもなくずっとのどかであった当時の東京。

この写真に写っている住民を、あれから60年近くが経過した現在の表参道に立たせてみたら果たしてそこが表参道と分かるかどうか…分からないだろうな。というか日本とすら思わないかも。