バックパックこそ背負っていなかった(当時はショルダーバッグメイン)ものの、若い頃の旅のスタイルはほぼバックパッカーのそれに等しかった。
費用節約の為に夜行列車を多用(もちろん三等)し、移動は出来るだけ徒歩。交通機関に複数の選択肢があれば躊躇なく最安なのを選択。宿は予約せず現地に到着してから安い部屋を探す。基本は町はずれにあるユースホステルかドミトリー、そこで得た情報をもとにまた動く。パン齧って水飲んで、距離を競うようにとにかく移動する。我ながらよくやったものだ。
そのような典型的な貧乏旅行スタイルも今は昔、ネット普及の恩恵で、今時はバックパッカーであってもそのスタイルは随分とスマートになっている。
まず宿は足でなくネットで探す。航空券はもちろん、長距離列車も長距離バスもチケットはネットでおさえる。ガイドブックは持たず、必要な情報は随時ネットから引き出して最短距離で移動。必ずしも安さのみを追求するのでなく、時間を節約するのに金は惜しまない。
このようにネットワークを駆使して動き回る旅行者を近年ではフラッシュパッカーというらしい(フラッシュとは掌で光るスマホを指すのだろう)。であるならば例外なくスマホを手にしている今時のパッカーは皆それだ。
年を取ってショルダーバッグがスーツケースになり、三等寝台が二等ときどき一等寝台になり、郊外のユースが都心のホテルになるなど自分の旅のスタイルも随分変わってきたが、一番変わったのはやはり旅そのものの組み立て方。
明日の行き先は前日の晩にネットで情報を集めて決める。ホテルの部屋もその時におさえる。列車や航空券のチケットもネットから予約する。こうするためにかつては「PCつき」の条件でヒットするホテルを渡り歩いていたが、誰もがスマホを持つ今となってはそれを売りにするホテルもなくなった。代わりに当たり前のようにWiFiを飛ばしている。その点でも随分と便利な時代になった。
実際、ネットの普及がどれだけ旅行者を自由にしフットワークを軽くしたか分からない。我々はどこにいても必要な時に必要な情報をその場で引き出し、その場で好きなように組み合わせて旅を続けることができる。そこがいわゆる観光地でないところであっても興味を持てばその場で情報を調べ、行き方を検索して実際に行ってみることができる。スマホがあればもはやガイドブックすら必要ない。
そう考えるとパック旅行のメリットって今やほぼないのではないだろうか。楽といえば楽かもしれないが…
そうか楽か。なるほど。楽がメリットか。なるほどそれは確かに。
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