キジ島行きの予定はあえなく白紙となり、さてこの街を発つ夜までどうやって時間をつぶすか。カレリアホテルを出るととりあえず街の中心部に向かって歩き始める。
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夢の中で見たようなシュールな風景が広がる |
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静かに佇む遊具が物悲しい |
極寒の地を染める美しい朝焼けの中を気の向くままシャッターを押しつつ歩いた…のが災いし、講堂前の広場に辿り着く頃にはカメラ操作の為にマイナス20度近い外気に晒し続けた手が凍傷寸前。素手を晒すのであればこまめに温めながらでなければとても持たないのを忘れていた。
ここまで冷え切ってしまったらもういけない。吐息をフーフー吹きかけるとか、そういったレベルではどうしようもない。焼け石に水。
あ、これはものすごくヤバいかもと焦って見回すと丁度いい具合に一軒だけ開いているカフェが目に入る。
天祐とばかりに飛び込むと、出されたホットコーヒーで手を温める。通常であれば熱くて五秒と持てないコーヒーカップを両手で包みこむように持って十秒、二十秒、三十秒…やっと手に血が通う感覚が戻ってきた。危なかった
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この一枚を撮った直後に辛抱たまらず左手のカフェに駆けこむ |
街の中心部まではここからあと小一時間は歩かなければならないがさすがにその気力も萎え、かといって(田舎町にはよくあることだが)この辺で流しのタクシーは皆無。ホテルに戻ればタクシーは呼んで貰えるだろうが、それもまた面倒くさい。
もうこの近辺をうろうろして時間を潰すことに決めた。
カフェを出て左手の坂を下ればオネガ湖はもう目の前だ。
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船着き場。当然クローズド |
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ラーダの超カッコいい四駆を発見 |
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このクラシカルな佇まい。ランクル40のようだ |
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誰もいない冬の遊園地はなぜこうもリリカルに映るのか |
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真っ赤なウソ…じゃないアカウソ |
目指したオネガ湖は…確かに、見事にかっちんこっちん。
湖面は時間が止まったように動かず、さざ波の音も聞こえない静寂を時折唸りのような音を立てて風が吹き抜けるばかり。
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右見てー |
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正面見てー |
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左見てー |
仕方がないので湖上を歩く。
風の音の他は何も聞こえず、動くものは何もない、
そしてほぼ色のない世界をひたすら歩く。誰もいない、誰も知らない
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湖上から見た遊園地 |
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行けども行けども何もない |
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引き返してくると遠くに船が固まっているのが見える |
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キジ島行きフェリーはあるかな |
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あ、多分これだ |
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まあこれじゃ出航できるわけないねえ |
物理的にはこのまま歩いてキジ島に渡ることも出来る筈だが、さすがにそんな時間も体力もない。
静寂の世界を彷徨すること二時間あまり、さすがに疲れたので俗世に帰還…ホテルに戻ることにする。
いつか見た夢のような幻想的な情景、キジ島に歩いて渡ってってたら、どこか別の世界に入ってたかもしれない、と思ってしまいました!
返信削除直線距離でも約50㎞ありますね…行き帰りでそれぞれ一泊ずつ氷上にテントを張れば行けるかもしれません。命がけですがそれも面白そう
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