12.04.2013

Z(俗人)ライフ

自分でわずか10万円の予算で家を建ててしまうという究極のDIY側面にまず引かれたBライフだが、ご本人(毎年寝太郎こと高村友也氏)のブログを読めばそれは単なる変人の風変わりな生活ではなく「働くとは」「生活とは」を突き詰めた哲学の実践である事が分かる。

人は何のために働くか、もちろん生きる為だ。
ならば生きるコストを最低限にすれば労働も最低限で済む。
持ち家であれば毎月の家賃もかからず、なおかつ土地建物あわせて100万円に満たない持ち家であれば固定資産税もタダ同然。年間所得を100万円以下に抑えれば所得税住民税健康保険料も殆どかからないうえに年金も全額免除(全額免除でも少しは支給される)。
結果、労働と名のつくものは数週間に一度の単発バイトで十分、これで十分生活が賄え、残りのすべての人生は誰に気兼ねする事なく自由を謳歌できるというライフスタイル。

あまりにもラディカルな発想の転換に唸ってしまうが、これはあくまで老人になるまで病気一つしない頑健な身体を大前提に成り立つ話であって、大病の一つも患えばたちどころに破綻してしまうサイクルである点で普遍性には極めて乏しい。生活保護の不正受給で社会に寄生するといったチートよりは遥かに真っ当だが、圧倒的多数の人間が馬鹿正直に働いてせっせと税金を納める事で成立しているこの社会の制度(の抜け道)を上手く利用したニッチな生き方である事には変わりなく、当然ながら多数派には決してなり得ない。理屈の上では可能だが、家族を持つのは事実上無理だろう。即ち何ら未来に繋がるものもない。

それを差し引いても、辿り着いた哲学を身をもって実践する勇気と行動力は大いに買うし、率直にすごいと思う。
自分も独り者であればこれを実践する余地はある。なくはない。のだが…いやまず無理。無理っす
決してギラギラしたタイプではなく(LWHはギラギラとは対極に位置する)どちらかといえば淡白な性質ではあるものの、それでも我と我が身を振り返れば物欲やら虚栄心やら執着心やら闘争心やら、ありとあらゆる欲望や煩悩の雁字搦めからは永遠に自由になれそうもない。
まずこの家を維持しつつ最低限の生活を送るにもバイト暮らしでは到底無理だし、かといって手放す事など有り得ない何言ってんのアンタ。車もバイクも最低限楽しみたいし最低限自転車も大事、最低限あれも欲しい最低限これも欲しい最低限猫も欲しい、最低限あの野郎この野郎の鼻をあかしてやりたいし最低限床張りはきちんと仕上げたい…ああ見事なまでに俗そのものではないか(笑)。
丿貫のような生き様には常にある種の憧れを抱いてはいるが、それは自分には決して辿り着けない境地に対する諦念の裏返しであったりするのだ。いいじゃないかにんげんだもの。みつを。

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