9.11.2014

「条件をのむなら売ってあげます」って考えてみれば超上から目線で何様だっていう

プレジデントは建売/売建に恨みでもあるのかという感じで、アンチ建売住宅の次には建築条件付土地をディスる記事。悪徳業者だって?ふむふむ

建築条件付土地では売主が施工業者が決めている?
見積もりが折り合わない場合もある?
フリープランがフリーでない?


そんなの当たり前じゃん。


建ててから売るか売ってから建てるかの違いこそあれ、建築条件付土地は要するに建売住宅と同じ(だから売建ともいう)。建売と同じく上物は画一仕様の大量生産でコストをぎりぎりまで下げて土地と抱き合わせで売る事で利益を出す仕組みなのだから、仕様が決まっていて買主のわがままが通らないなんて当たり前。フリープランといってもドアを変えられますとか壁紙を変えられますとか、せいぜいがこの二部屋をつなげて一部屋に出来ますとか間取りはこの二パターンから選べますとか言う程度の「フリー」でしかなくて、壁は珪藻土にしたいとか床は無垢の木を使いたいとかここに水周りは一箇所に集めたいとか、注文住宅なみのカスタム仕様なんかいちいち聞き入れていたらとてもあの値段では供給できない。建築条件付土地の「モデルプラン」はえげつないくらい安いからなあ。そりゃ仕方ない。世の中にうまい話はないって事ですよ。

ていう事くらい承知の上でみな購入するものかと思っていたが、こんな言わずもがなの事を今頃ものものしい見出しを付けて記事にしたりして…大丈夫かプレジデントは。

しかし少なからず家にこだわりを持ちたい人にとって建築条件付土地は本当に悩ましい存在であるのは確かで、「好きな家を建てる」事を志した時にまず立ちはだかるのがこの「建築条件の壁」。
土地物件の検索サイトで「建築条件なし」をフィルタ条件に加えた瞬間、それまで表示されていた物件数がおよそ十分の一にまで激減して愕然とするのは注文住宅あるあると言っていいくらいの話で、条件のいいところほど売建を手がけるディベロッパーが売りに出る前から抑えてしまっているのだから、特別なコネでもない限り市井の一個人の情報力では到底太刀打ちできない(土地の販売だけで十分利益が出る億単位の高額物件であればさすがに建築条件は付かなくなるが、そんなものは遺産が転がり込んだラッキーマンかベンチャーの創業者か成功したスペシャリスト以外にはハナから縁がない)。
これといった才も運も親から相続した土地も持たない我々一般庶民が都内で好きな家を建てたいのなら、土地探しからいきなりハンデを背負ってのスタートとなるのを覚悟しなければいけないのが現実。結果として、土地探しの段階で何割かは家作りを諦めてしまうであろう事は想像に難くない。

専ら売り手に有利となるだけの建築条件付土地という悪習(と言い切ってしまう)がなんでここまで蔓延っているかと考えると…とどのつまり、消費者が文句言わずにそれを受け入れている=それで良しとしているから、に他ならない。結局ごく一部の「金持ちか、土地持ちか、家マニア」以外の人が「好きな家」を現実のものにするのは難しい、というお寒い現状が見えてくるような。


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※ 幾らか購入代金に上乗せする事で建築条件を外して貰うという裏技もあるにはあるが運任せで当てにはならないし、いい土地である程交渉が成立する確率は低くなる。わざわざそんな面倒くさい客を相手にしなくても売れるから

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