2.16.2014

死に至る想像力の欠如

(自称)D社現役社員による内部リーク
情報の出処が2ちゃんであるところが怪しいが、このメーカーは「デザインやカラーリングに凝っているが安物の折り畳み自転車を通販専業で売っているキワモノメーカー」として自転車に乗る人間には認知されている。一部ユーザからマニアックな支持を得ているがアンチも多く、走行中にぶっ壊れたという噂も以前からちらほら耳にする。
個人的にはさもありなんという印象でさしたる衝撃ではないが、こういった事故を聞くのはあまり気分がいいものではないので一応書いておく。一万円札数枚でホムセンで買ってきたまま放ったらかしでサビサビの折り畳み自転車に乗っているあなた、今すぐそれ捨てなさい

折り畳み自転車(フォールディングバイク)はフレームの真ん中から二つ折りに出来るように作られている。走行中に最も応力がかかるメインチューブをぶった切るという本来あり得ない事をしているのだから、当然ながら普通の自転車より安全性のリスクは高い。前後を繋ぐ文字通りの命綱となる蝶番には相当な強度が求められるし、各所の補強など含め設計には入念な強度計算が必要だろう。
普通の自転車には必要のない手間隙とパーツを追加しているのだから割高になるのは当然だ。ダホンやブロンプトン、bd-1といった折り畳み専業メーカーの製品はその性能と比べて相当に高価で、しかしそれはぼったくりではなく当然の帰結、まともに作るならどうやっても高くなる。
折り畳み自転車の特性がどのようなものか、そしてかの国の品質管理がどの程度のものであるか知っている人間にとっては、いくら見栄えがよくても「メイドインチャイナの激安折り畳み自転車」など戦慄の対象でしかない。100均で売っている粗悪な中国製工具が一回使っただけでお釈迦になっても笑い話で済むが、こと命を預ける乗り物においては笑い事では済まされない。

「安い」は強烈な魔力を持っていて、その力にかかった人間はしばしば本来の聡明さを失い思考停止状態に陥ったまま判断を下してしまうものだが、少しだけ踏み止まって想像力を巡らせれば上のような事は誰にだって分かる筈だ。
高い事には必ずしも理由があるとは限らないが、安い事には必ず理由がある。
それは何と引き換えに得た安さなのか、安さの代わりにどのようなリスクを負っているのか、そしてそれは自分にとって許容し得るものなのか。語弊を恐れずに言えば、人命が安い国からやってきた製品に軽々しく預けられるほど自分の命は安いのか。その覚悟が出来た人間のみ手を出すべき代物だろう。


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