今回床に張った檜板は、本来であれば壁や天井に張る板材で、長さこそ2mあるものの幅9cm厚さは僅かに1cmしかない。針葉樹である檜は柔らかで軽く、この点だけ見れば工事は随分楽そうに思える。ていうか実際楽だ。
問題はそのロケーション。
ロフトは二階天井裏にあり、アクセスするには梯子を上る必要がある。そして上りきったところにあるロフト空間は四つ這いでなければ移動できないほど低い。
これが激しい疲労の源。
・板材を仮起きする
・カットラインを引く
・表に持ち出してカット
・再び持ち込んで位置合わせ
・ボンドで接着
・ドリルで下穴を開ける
・フロア釘をハンマーで打ち込む
・ポンチで締めこむ
たったこれだけでしかない一連の作業、我が家の二階ロフトという特殊な空間においては、この合間合間に漏れなく「梯子の上り下り」と「四つ這い移動」が伴うのだ。
正確に記せば、
・板材を持って梯子を上る
・板材を持ちながら四つ這いで移動し板材を仮起きする
・四つ這いになりながらカットラインを引く
・板材を持ちながら四つ這いで移動する
・板材を持って梯子を降りる
・板材を持って階段を降りる
・表に持ち出してカット
・板材を持って階段を上る
・板材を持って梯子を上る
・板材を持ちながら四つ這いで移動し再び位置合わせ
・四つ這いになりながらボンドを塗る
・四つ這いになりながらボンドが乾くまで抑える
・四つ這いで移動しドリルと掃除機を持ってくる
・四つ這いになりながらドリルで下穴を開ける
・四つ這いになりながら掃除機で木屑を掃除する
・四つ這いになりながらフロア釘をハンマーで打ち込む
・四つ這いになりながらポンチで締めこむ
ゲシュタルト崩壊を起こしそうなほどの「四つ這い」の連続。
四つ這いの何がそんなに疲れるの?と仰る御仁は一時間でいいから四つ這いで生活してみて欲しい。四つ這いでスマホを操作し、四つ這いで新聞を取りに行き、四つ這いでテレビのリモコンを操作し、四つ這いで歯を磨くのだ。
もう尋常じゃなく疲れるから。疲れないとしたら多分あなたは猫なんでしょう。気づいてないのは自分だけ。
張った板の枚数、すなわち五十数回このルーチンを繰り返せば膝当てを当てていても膝が腫れ上がろうというもの。正直に言えば工事が終わって暫くは梯子を目にするのも嫌になったという。笑
最後に今回の工事のオールキャストと一口メモ。
これだけ揃えればあなたも明日から床張り親方、さあレッツトライ。
右から
・ハンドクリーナー:ドリルで出る木屑は結構な量。なくても工事は出来るがあれば大いに捗る
・ドリル:下穴開けに使用。なくても工事は出来るが相当苦労すること必至
・隠し釘:端の板材を固定するのに必要。思春期の少年の心より折れやすいので取り扱い注意
・フロア釘:言うまでもなく必要不可欠だが長すぎると下地をぶち抜くので注意。そんな間抜けはいないか
・ボンド:板材固定と鳴き防止に。セメダインは乾燥後透明になるがタイトボンドは黄色く固まるのではみ出し注意。今回の工事では500ccボトルを二本空にした
・ハンマー:言うまでもなく必要不可欠。板を傷つけにくい樹脂素材のを使う
・ポンチ:フロア釘を最後まで打ち込むのに必要。フロア釘の頭にはポンチ用の凹みがあるので先端が尖っているタイプの方が使いやすい
・カッター:針葉樹に限り有効。余分を切り取ったり形を整えたり
・シャーペン:隙間なく張るにはミリ単位の精度が求められるので、線が太い鉛筆より常に細いラインが引けるシャープペンシルの方が望ましい
・金尺:垂直に線を引いたり長さを測ったり背中を掻いたり何かと便利
・鋸:言うまでもなく必要不可欠
・膝当て:今回の工事における影のMVP。これがなかったら工期は軽く十倍に延びていた。マジで
はいチーズ |
暫くの間苦楽を共にした相棒たちも最後の記念撮影を終えれば解散、そしてそれぞれがあるべき場所に戻っていく。
あるものは工具箱に、あるものは引き出しに、あるものは部屋の隅に、
そしてあるものはゴミ箱に。あー断捨離断捨離