6.14.2017

おろしや国一週間(9)12月13日 ペトロザボーツクその2 a walk on the lake

キジ島行きの予定はあえなく白紙となり、さてこの街を発つ夜までどうやって時間をつぶすか。カレリアホテルを出るととりあえず街の中心部に向かって歩き始める。




夢の中で見たようなシュールな風景が広がる



静かに佇む遊具が物悲しい


極寒の地を染める美しい朝焼けの中を気の向くままシャッターを押しつつ歩いた…のが災いし、講堂前の広場に辿り着く頃にはカメラ操作の為にマイナス20度近い外気に晒し続けた手が凍傷寸前。素手を晒すのであればこまめに温めながらでなければとても持たないのを忘れていた。
ここまで冷え切ってしまったらもういけない。吐息をフーフー吹きかけるとか、そういったレベルではどうしようもない。焼け石に水。
あ、これはものすごくヤバいかもと焦って見回すと丁度いい具合に一軒だけ開いているカフェが目に入る。
天祐とばかりに飛び込むと、出されたホットコーヒーで手を温める。通常であれば熱くて五秒と持てないコーヒーカップを両手で包みこむように持って十秒、二十秒、三十秒…やっと手に血が通う感覚が戻ってきた。危なかった


この一枚を撮った直後に辛抱たまらず左手のカフェに駆けこむ

街の中心部まではここからあと小一時間は歩かなければならないがさすがにその気力も萎え、かといって(田舎町にはよくあることだが)この辺で流しのタクシーは皆無。ホテルに戻ればタクシーは呼んで貰えるだろうが、それもまた面倒くさい。
もうこの近辺をうろうろして時間を潰すことに決めた。


カフェを出て左手の坂を下ればオネガ湖はもう目の前だ。




船着き場。当然クローズド

ラーダの超カッコいい四駆を発見

このクラシカルな佇まい。ランクル40のようだ
誰もいない冬の遊園地はなぜこうもリリカルに映るのか

真っ赤なウソ…じゃないアカウソ


目指したオネガ湖は…確かに、見事にかっちんこっちん。
湖面は時間が止まったように動かず、さざ波の音も聞こえない静寂を時折唸りのような音を立てて風が吹き抜けるばかり。



右見てー

正面見てー

左見てー



仕方がないので湖上を歩く。
風の音の他は何も聞こえず、動くものは何もない、
そしてほぼ色のない世界をひたすら歩く。誰もいない、誰も知らない




湖上から見た遊園地



行けども行けども何もない
引き返してくると遠くに船が固まっているのが見える



キジ島行きフェリーはあるかな

あ、多分これだ

まあこれじゃ出航できるわけないねえ


物理的にはこのまま歩いてキジ島に渡ることも出来る筈だが、さすがにそんな時間も体力もない。
静寂の世界を彷徨すること二時間あまり、さすがに疲れたので俗世に帰還…ホテルに戻ることにする。


5.28.2017

葉山の家

GWが明けた次の週末にS氏がリノベーションを手掛けた「葉山の家」の見学会が開催された、本来の見込み客ではない自分もついでにご招待をいただいたので逗子まで行ってきた。

毎度毎度思うことだが、誰もがセキュリティやプライバシーをかつてないほど意識しているこのご時世に完成直後ならともかく実際に住んでいる家を公開する(させる)のはなかなかすごいことで、その証拠に他の建築事務所でこういった事例はまず見かけない※1。施主と建築士の信頼関係なくしてはまず望めない催しだし、関係が良好であったとしても工事の切れ目が縁の切れ目というドライな顧客ならやはり承知はすまい。ビジネスライクとは程遠いS氏には似たような雰囲気の(いい意味で)ゆるい施主が集まっているのも面白いところで、他の商売と同じくベンダー/サプライヤーとクライアントが似た者同士となる傾向があるのであればやはり気取った建築士には気取った施主が、ドライな建築士にはドライな施主が集まるのだろうか。検証の為にS氏には一度HPをイメチェンしてブラックバックにやたら小さな白抜きフォント、作例は説明ゼロのフラッシュのみとしてプロフィール画像をMr.マリックのような恰好で光量抑え目で顔半分影になった斜めショットに差し替えてみた上でどういう施主が集まるか確認してみていただきたい。

それで逗子。人生二度目の逗子。電車では初めての逗子。
JR逗子駅前のバスロータリーからS氏に言われた通り3番のバスに乗車したらさんざん回り道した挙句逗子駅前に戻ってきてしまい、降りしきる雨の中を大遅刻でやっと施主Aさん宅に到着。この時点で自宅を出てから3時間余が経過。うむこれはまずい。
Aさんは鷹揚にも笑顔で出迎えてくださったものの初対面での失態に恐縮することしきり。
恐縮しながら靴を脱ぎ、
恐縮しながらリビングに通され、
恐縮しながらビールと空揚げ※2をいただき、
恐縮しながらはいお邪魔しました。

「家を見なくていいんですか(翻訳:あんた何しに来たの)」
とのS氏のナイス突っ込みに我に帰り、恐縮しながらお二階を拝見。
S氏の説明にもある通り、この家においては「小さな部屋の壁をとっぱらって大空間を作り出す」リノベーションの定番は適用しておらずむしろその逆、もとは大空間モノスペースであったところを細かく仕切り、年頃の兄弟のために二つ個室と収納を設えてやったというのが主な内容。
家族が色々ならリノベーションも色々。Aさん宅で求められていたのは広い空間よりも独立心が芽生え始めた男の子のためのパーソナルスペースと、家族一人ひとりに十分に用意される収納スペース。この一家にとっては今やリノベーションの鉄板となった「リノベーション≒広々とした空間を作り出すこと」の公式は当てはまらないのだ。
これはこれでもちろん正解、子供も自我が確立する思春期ともなれば色々と親に知られたくない秘密も出来てくるものなので、その数年間だけでもいいから(またどんなに狭くてもいいから)専用のスペースを与えてやるべきだと思う。特に男子はつるんとした顔にニキビやらヒゲやら出てきてごつごつとみるみるうちに男臭くなりいつの間にやら喉仏なんぞ出てきて声が低くなるのと合わせるようにやたらとプライバシー意識が強くなって不用意に留守中に部屋に入ろうものなら激高して何勝手に入ってんだババア〇すぞなんて聞いたこともないような乱暴な言葉で罵倒された母親が仰天して一体あの子はどうしてしまったんでしょうなんて帰宅した夫に相談したりするところまでセットではいそれは男子がいる家庭でごく普通に繰り広げられている光景なので心配いりません。

男子二人に新たに割り当てられた部屋は三畳程度と狭いながらも互いの凹凸が組み合わさる巧みな間取りで、狭さもかえって秘密基地風な趣を醸し出していて好ましい。
(個人的には子供に与えるスペースは勉強部屋としての機能性があればそれで良く、広々と豪華で快適な空間である必要はさらさらないと思う。あまりに快適な環境は子供の独立心を損なってしまいかねないし、広々としたスペースが欲しければさっさと自立して家を出て好きな部屋に住めばいいのだ。その方が健全)
この家でもS氏的定番である厚さ3cm幅20cmの極厚の杉板と室内窓、明り取りを兼ねた格子の足場はしっかりとその存在感を発揮。
アクセントとしてだけでなく換気窓としての実用性も高い室内窓は子供にとってはよき遊具にもなる(実家にこれがあったら絶対にくぐって遊んでいただろう)万能の窓で、格子足場は太い材と細い材を組み合わせて変化を出しているのが新しい試み。

玄関上部に位置する明かり取り床。太い細い太い細い太い細い太い細い

幼い頃の自分ならくぐり抜けて遊ぶであろう小窓

前述のとおり都心から相当の距離はあるものの逗子は始発駅なので朝は座り通勤も可。湘南に共通する独特のゆるい空気※3もいいし、海も山も近く風向明媚。どうせ郊外に住むのであれば思い切ってこの辺りを生活のベースにするのも大いにあり。少なくとも住みたい街ランキング上位常連の鎌倉よりは遥かに正解。※4

__________
※1 どっかのハウスメーカーで完成後の公開を条件にした一定額の値引き制度を設けているところがあるらしい
※2 唐揚げと書くのは間違い。衣をつけないで揚げる=空揚げが由来であって中国とは何の関係もなし
※3 街の空気は住人にも確実に影響を与える。ゆったりとした空気はゆったりとした人を育てるのだろう。Aさんを見ればわかる
※4 理由は行けば分かるさアリガトー!。一言でいえば、観光地になんか住むもんじゃないよ

5.06.2017

おろしや国一週間(8)12月13日 ペトロザボーツクその1 Wo, Wo is stupid

モスクワからの夜行列車は時刻通りにカレリア共和国の首都ペトロザボーツクに到着。
列車から降りるなり摂氏マイナス18度の外気で手荒い歓迎を受ける。

低温下ではバッテリ消耗が激しい。下車前にiPhoneを充電


出迎えの子供たち

星をいただく尖塔がペトロザボーツク駅のシンボル


この街を訪れたのはいうまでもなく世界遺産の木造正教会が建つオネガ湖のキジ島へのフェリーに乗るためだが、駅を出てまず向かったのはフェリー乗り場でなくその近くにあるカレリアホテルというリゾートホテル。このホテルでフェリーチケットの予約を受け付けていると聞き、日本を発つ前に予めチケットの手配をメールで依頼しておいたのだ。
朝9時にペトロザヴォーツク着、11時発のフェリーに乗りキジ島に渡り、夕方のフェリーで再び帰って来る。そのままこの街で時間をつぶし、夜9時頃の列車に乗りサンクトペテルブルクに向かう。うむ完璧なプランだ。
もっとも二回送信しても返信がないのが気になるといえば気になるが大したことはあるまい。これもロシアらしいルーズさだろう。

カレリアホテルまでは駅から約5㎞、フェリーが出るまで時間は十分あるので普段であればブラブラ歩いていくところだが、とにかく半端でなく寒いので駅前からタクシーで直行。
さすがにリゾートホテルだけあって流暢な英語を話す受付の女性従業員二人に向かってここまで来た用向き、すなわちメールで依頼しておいたフェリーチケットを受け取りたい旨を伝えるが、二人とも呆気にとられた表情のまま固まって返事がない。通じなかったかと思いもう一度繰り返すと、顔を見合わせながら困った顔で漸く口を開いた。

「フェリーはクローズしています。だって…湖が凍ってるでしょう」







あっ。





全く信じられないことだが、ことこの瞬間に至るまで湖が凍り付いていることに全く思いが寄らなかったのはどうかしているとしかいいようがない。完璧なプランどころか完璧な間抜けである。
今度はこちらが言葉を失って立ち尽くしていると、もう一人の女性が続ける。
「メールの返事はありましたか?なかったでしょう。冬は運行してませんから」
あーそうかいそうかい確かに返事はなかったよしかし君ねェやってないならやってないと返事くらいくれてもいいじゃないかねェとブツブツ独り言つも全ては後の祭り。彼らにしてみれば冬になればオネガ湖は凍るのは当たり前、そうコーラを飲めばゲップが出るっていうくらい確実(Ⓒ荒木飛呂彦)なことであって、それに思い至らないこちらの方が非常識なのだ。

受付嬢は気の毒がって親切にも電話で確認してくれたものの、結果は彼女の言葉が正しいことが裏付けられただけ。
かくなる上は仕方ない。とりあえず今晩この街を発つまでスーツケースを預かってくれないかと頼み、身軽になるとホテルを出て街へ向かって歩き出す。とにかく夜まで時間をつぶさなくては。

カレリアホテルはオネガ湖の目の前



5.04.2017

トグルスイッチをお手軽に

我が家の壁の電気スイッチを全てゾルボンヌ印トグルスイッチに交換したのは4年前の夏の日のこと。品質には何の問題もなく、パチンパチンという小気味いい感触は取り付けた日から何ら変わることはない。メカニカルキーボードや手巻き腕時計やマニュアルトランスミッションが好きという感触フェチの気がある方には自信をもってお勧めできる一品。
販売代理店のR不動産toolboxでは出張工事の手配なんかも請け負っているのだけれど、そこまで本格的にではなくてとりあえずどんなものか試してみたいとか、賃貸なのでそもそも工事が無理とかいう人にお勧めなのが最近Pinterestで見つけたこれ


一見したところは本格的なトグルスイッチ…


実はスイッチプレートを外して代わりに取り付けるだけのお手軽施工。

モナカモナカ


元のスイッチはそのままで、プレートの代わりに取り付けた箱のトグルスイッチにつながった内側の棒で間接的にスイッチを操作するというナイスアイデア。これなら電気工事士を呼ぶ必要もなく自分で工事できるし、いつでも元の状態に復旧できる。
いいねこういうの。ただオリジナルのスイッチを生かすためにトグルスイッチは当然上下でなく左右に動かすことになるのがやや不自然であるのと、構造から推測するにスイッチの感触もパチンパチンというよりはポコンポコンとしたややソリッド感に欠けるものであるかもしれない。そこはそれ、お手軽施工が本格施工に敵う筈はない※1ので割り切るしかないが、でもこういうアイデアは好きだね


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※1 「敷くだけフローリング」が張ったフローリングには決して及ばない(双方を施工した経験から断言できる)のと同様。

4.29.2017

アオダモ新緑

先月植えた二代目シンボルツリーのアオダモから鮮やかな新芽。
アオダモの特徴である白樺のような青白い幹とのコントラストが美しい


無事根付いたようでまずはめでたし。
萌芽だけでなく枝の先端も15㎝ほど伸びている…これは頼もしい

緑の部分がこの春の伸びしろ

4.18.2017

貴重な擁壁建築現場

なんということでしょう
営業でもないのに先週は二回に分けて三日も出張になってしまいました。
なんということでしょう。
仕事は絶対家に持ち帰らない主義なのに、この週末はその主義を曲げてでも家で報告書を書き上げなくてはならない状況になってしまいました。
それなのに今日も昼飯どころかトイレに行く暇もろくにとれないほど忙しくなるとは、本当になんということでしょう

ていうかよー大体よー忙しい忙しいという奴ほど仕事できないんだよ。お前はミサワかよって
ケッ(やさぐれてる)



我が家のご近所の二世帯が同時に取り壊されて更地になってから半年近くが過ぎた。
この土地に古くからある家らしいゆったりした土地は更地にしてみると都心にあるまじき広さが際立ち、売り値をつけるならどんなに安く見積もっても三億円は下るまい。
これからこの土地はどうなるのか、元の家主が新築に建て替えるのか、品のいい低層マンションでも建つのか、あるいは分割して宅地として売りに出されるのか。一番いいのは元の家主がそのまま新築することだけれど、それでなければいっそ区が買い取って公園緑地にでもしてもらうのがいい。一番避けて欲しいのは建売業者が買い上げて羊羹みたいに細々と分割した挙句に金太郎飴みたいなつまんねえ建売を並べて埋めてしまうことで、まーこの街で最も小さな家に住む自分が言えた義理ではないのだけれど、いや先住者としてそこは言えた義理だ。そういうことで。

階段沿いの斜面に面したこの土地に先週から重機が入り、何やら掘り返して漸く工事が始まった。
よく見るとこれは擁壁を作り直す工事で、古い擁壁を崩し土地を掘り下げてから新しくL字型の擁壁を作成しているところ。
昔と違って擁壁を新造するには構造計算が必要とされるので、擁壁の高さによって求められるL字の底辺の長さは違うはず…そう思って反対側から見たら、やっぱりそうだった。
擁壁新築工事などそうそうお目にかかれるものではないので、以下の画像は割と貴重。な筈

こっち側から見れば逆L字型
奥に行くほど擁壁の高さが高く、したがって底面積も広くとられているのが分かる

擁壁を作り直すということは建て替えなのか、それとも擁壁を直したところで改めて売りに出されることになるのか。何でもいいけどあまり土地いっぱいにぎゅうぎゅうに建物を建てず、ゆったりと作って欲しいね。ゆったり(だからお前が言うなと)

4.04.2017

おろしや国一週間(7)12月12日 ペトロザヴォーツク行夜行列車

帰宅途中に目にしたツイッターのタイムラインで知ったサンクトペテルブルグのテロ。どこであれこれまで一度でも訪れた国や町には少しは思い入れがあるし、そこが戦争で荒廃したり悲惨なテロの舞台となったことを耳にするのはやりきれない。およそ三か月前に訪れたばかりの記憶に新しい、そしてこれまで訪れた中でも屈指の美しい街であれば尚更だ。
無辜の市民を狙ったテロは絶対的に悪であり、どんな理由があれ正当化も相対化もできない卑劣な犯罪であることに疑いの余地はない。憎むべき犯行グループはプーチンが地の果てまでも追いかけ、犯した罪の報いを受けさせるだろう。そうでなくてはならない。

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アルバート通で土産を調達し、夕食を摂ってスタバで休んでいるうちにそろそろПетрозаводскペトロザヴォーツク行夜行列車出発の時間が近づいてきた。そろそろ荷物を預けてある出発駅レニングラーツキー駅まで戻る時間だ。

国鉄の長距離列車のチケットは当然国鉄駅の窓口で売っているのだが、ロシア国鉄の窓口職員にはほぼ英語が通じないうえ、彼らは(日本人が当たり前に行っている)コミュニケーションへの努力は殆ど行わない*1ので、ロシア語話者でもない限り窓口で相談しようと考えるのは得策ではない。
ではどうすればいいかというと、ロシア国鉄ウェブサイトでEチケットを購入するのが最も便利かつ安心。これなら急かされることなく気が行くまで比較検討できるし、チケットを購入するのに発車駅の窓口まで足を運ぶ必要もなければ窓口の行列に気を揉むこともない。
英語モードもあるロシア国鉄ウェブは外国人にもかなり使いやすいのだが、ビジター購入が出来ないので購入するには必ず会員登録しなければならないのが少々鬱陶しい。そこだけ要改善


この前日に北京ホテル近くのダイナーでブランチを食べながら購入しておいたのがこれ、モスクワ21時2分発でペトロザヴォーツク翌8時55分着の二等寝台。ペトロザヴォーツクまで11時間、900㎞ほどの道程を5439ルーブルで運ぶ。円にしておよそ13000円、欧州の列車としては高くもなく安くもなく。勿論JRよりは遥かに安い。

北方路線のターミナルであるレニングラーツキー駅、やはりサンクトペテルブルグ行が多い

目指す寝台車は18番線

リモワのスーツケースのような側面のリブがいい味だしてるロシア国鉄の車両
二等寝台コンパートメント内部。中央の小さなテーブルには配布された朝食セット


二等寝台はコンパートメントで二段ベッドが二組の四人部屋と標準的。
過去には一等にも三等にも乗ったことはあるが、これが一等だと一人部屋となり三等だとオープンスペースの三段ベッド(というか棚というか)となる。三等寝台のベッドは昼間は座席シートだったり背もたれだったりするものをベッドとして使用するもので、肩幅程度しか幅のないこれの寝心地はいうまでもなく、また荷物の心配もあるのでバックパッカー以外にはお勧めできないが、一度は経験しておくのもいいかもしれない。二度経験する必要はない。
二等でも三等でもコンパートメントは指定されているがベッドは指定されていないので早い者勝ち。ここは下段をキープするのが鉄則。理由?乗ってみれば分かる。

値段と乗り心地のバランスがとれているのは二等だが、それでも荷物を置く場所は殆どなく、機内持ち込みサイズのスーツケースを足元に置くのが精いっぱいで、そうすると長身の人は足を折り曲げて寝ることとなるからやはり窮屈。大きいスーツケースを抱えた人や女性は奮発して一等寝台を取るのがお勧め。例え二等でもさすがに女性が男性と同部屋に放り込まれることはないが、一人部屋が最も安全なのは言うまでもない。

首尾よく下段のベッドを取ることができ一安心すると、程なくして時刻通りにレニングラーツキー駅を発車。三十分もしないうちに車掌が検札とともに何やら小さな箱とパンにミネラルウォーターのボトルを抱えてやって来る。箱の中身は質素なオムレツ。これは明日の朝食だな

通路は人がやっとすれ違える程度の幅
二等寝台のコンパートメントで乗り合わせたひげ面のおじさんはこちらに興味を示すこともなく、むっつりと押し黙ったまま次々と寝床に就いてしまう。うむロシアらしい。
バスと違い車内をうろうろできるのが列車の旅のいいところだが、夜行列車でそれをやったらさすがに嫌がらせになるので単独行動は控え、皆に合わせて早々に床に潜り込んだ。


3.21.2017

家を買うことは投資か

発展著しいムサコのタワマン群。本文と画像は関係ありません。多分

別にタワマンをディスりたい訳ではないのだが、なんといってもこれまで人類史に存在しなかった形態の未知の住居であればこれから起こるであろう出来事もすべて未知の出来事、起きる問題も未知の問題。
なので単純に興味深いというだけで他意はない。

で、今回興味を惹かれたのはタワマン住民の意識調査について書かれたこの記事
内容を要約すると、

・タワマン住民の多くは初めから一生住むつもりはなく、買い替えを計画に入れた上で物件を購入している
・購入者は古くなったタワマン物件がババ抜きのババになるリスクをしっかり把握していて、住居として「美味しい時期」が過ぎたら早々に足抜けすることを視野に入れて購入している

なるほどね。
であればその資産価値に敏感にもなるだろうし、資産運用の一環として住居購入を考えればそもそも買ったほうが得か借りたほうが得かというレベルから真剣に検討するだろう。
購入派と賃貸派の終わることなき論争やそれをテーマにした記事が専ら金勘定の話ばかりで、住みたい家に住むことで得られる充足とかQOLの向上とかいう視点が置き去りにされているのに常日頃から違和感を感じていたのだが、タワマン購入者およびその予備軍を想定して書かれているとなればこれも合点がいく。

そもそも家を買うのも資産運用の一環ととらえれば、そりゃあ自分の好きな家に住みたーいとかそんなセンチメンタルなことは言ってられない。絶えず相場をチェックして売り時になったらすかさず売る。値段が下がる前に売る。
損しないように。
資産価値が下がるから我が家であっても内装には手を付けず、出来れば画鋲の一つも打たず、出来るだけ買ったままの状態を綺麗に保つことをテーマに日々を送る。
損しないように。

それはそれで賢い生き方なんだろうしそれを否定するつもりは毛頭ないが、であればやっぱり賃貸でいいんじゃないのと思ってしまう。注文で家を建てる人の多くは理想の住まいに対する思い入れがあって、その実現を目指して建築事務所の門を叩くのだろうけど、それとは対極のクールでスマートでドライな住宅観がそこにある。

家は資産。家を買うことは投資。買い時になったら買い、売り時になったら売る。
賢いのかね。賢いんだろうね。


3.20.2017

おろしや国一週間(6)12月12日 土産を買いにアルバート通りへ



月に照らされたクレムリンを後にすると次はガイドブックによると「モスクワの渋谷」であるというアルバート通り方面へ向かう。
モスクワの渋谷。本当か?

クレムリンを背にまっすぐ西に向かいノーヴィ・アルバート通りを歩くと右手にドム・クヌーギ。フランスでのfnacに相当する大型総合書店で、こういうところにも土産に最適な小物が売っていたりする。



少し寄っていこう…しかし通りを渡れない。モスクワの道路整備は徹底していて、街の中心部を外れて走るこういった幹線道路に信号は皆無。ではどうやって渡るかといえば、数百メートルに一か所設定されている地下道を通っていくしかない。画像では目の前に見えるドム・クヌーギにたどり着くのにここから300mほど歩いて地下道を渡りまた300m戻って来るという、車には便利だが歩行者にはなかなか不便な街づくり。地下道は全て階段でエスカレータやエレベータは皆無、バリアフリーどころかバリアだらけ。
行ってこいで入店したドム・クヌーギでは薄手で嵩張らないオリジナルのショッピングバッグや変なペンなどをライト土産にピックアップしてレジに向かう。

と、レジに立てかけてある本の帯の顔に見覚えが。



顔写真の下にロシア語で「こんまり」。近藤麻理恵さんじゃありませんか
つまりこれは「片付けの魔法」だ!

この後に訪れるサンクトペテルブルクのドム・クヌーギでも平積みになっているのを目にしたこの本、ロシアでもかなりの話題作らしく帯を見ると5000000の数字。世界で500万部の大ヒット作と書いてあるのだろう。
すごい。世界のこんまり。今のモスクワでは本田より有名な日本人ではなかろうか。
しかし家が片付かなくて困ってるのは日本人だけでないのね

そしてトランプも大人気


ドム・クヌーギを出ると南に向かいアルバート通りにたどり着く。
えーとガイドブックによれば若者が集まるモスクワの渋谷。ないし原宿と。
んー違います。笑



んー確かに歩行者天国の大通りで若者が多くてアパレル店がそこそこあったりするのだが、原宿というより地方都市のアウトレットパーク的な長閑な感じ?
ちなみにロシアの若者、全然お洒落じゃありません。
それこそ渋谷原宿あたりとは比べ物にならず。素材はいいのにねえ


路面で絵を売る

この程度のそこそこいけてないショッピング通りに興味はないので普段はスルーするところだが、今回立ち寄った理由は買い付けを頼まれた土産物を物色するため。

まずはシュカトゥールカ、一言でいえば塗りの小箱。
結構な手間がかかるらしく小さくてもいいお値段がするのでライト土産には向かない。
シュカトゥールカやホフロマを大量に並べているのが、アルバート通りを進むと左手に見えてくるアルバーツカヤ・ラヴィーツァ


店内はやや殺風景だがシュカトゥールカとホフロマの充実ぶりは恐らくロシア随一。
一階はどこもかしこもこんな感じ


シュカトゥールカの絵柄はロシアの昔話を元ネタにした人物像が多いが、自分の趣味としてクレムリンの塔をモチーフにした長方形の箱を選択。

自分のお買い上げ跡地がぽっかり空き地になっている中央手前


続いてマトリョーシカは通りの入り口付近右手にあるミール・スーベニーロフで購入。販売の兄ちゃんは完璧な英語を操り愛想も抜群で慇懃な物腰。ロシア人らしくなく実に気持ち悪い。笑


邪魔にならないよう小さいサイズを選ぶが、マトリョーシカの価値は大きさよりも入れ子の数で決まり、当然入れ子が多い多層構造になっている方が上等なマトリョーシカで値も張るとのこと。

お買い上げの跡地が空き地
ここで買ったマトリョーシカは高さ5cmほどの小さなものにもかかわらず9層構造。お値段4320ルーブルで約一万円。細工の精密さを見ればまあ納得できるように思えるが、値段的にライトとはいいがたい。しかし安物のマトリョーシカは絵付けが適当で顔も不細工なのが多いので、どうせ買うならあまりケチらないほうがいい。




土産調達ミッションを終えてアルバート通りをぶらぶら進むと、何やら通りに沿って昔のスチール写真が引き伸ばされて展示されているのが見えてきた。
見ると独ソ戦におけるモスクワの様子を撮影したタス通信の展示物で、一時はドイツ軍に20km足らずまで迫られ陥落寸前となった当時の首都の緊迫感がありありと伝わってくる。日本ではなかなか目にすることができない貴重な写真。



ナチスドイツの宣戦布告を告げるアナウンサー

モスクワ市街の防空体制
来るべき首都攻防戦に備えて設けられたバリケード

タス通信の壁新聞を見入る人々
原爆を二度も投下され沖縄が戦場になった日本が第二次世界大戦で最も大きな損害を受けた国と勘違いしている人も多いかもしれないが、少なくとも数値の上では桁外れに大きな損害を被ったのがソ連次いでドイツ。
戦闘の規模も戦死者数も一般市民の犠牲者数や戦争終結後の悲惨な運命も、日米のそれですら比較にならない人類史上最も大規模かつ凄絶な戦争、それが独ソ戦。
紙切れ一枚の証拠もないのになぜか年々犠牲者が増えていく南京ゲフンゲフンとか、そんなファンタジーなど入り込む隙間もないほどの悲惨な現実。この辺は近くにいるWW2オタに聞けばもう幾らでも語ってくれるだろう


ハードロックカフェもこの通り沿い
妙に可愛らしいプーシキンのアパート

の傍で寒そうなプーシキン像


アルバート通りの締めでロシア語表記のスターバックスに入る 。
ロシア土産の新定番となりそうなのが、ここでしか買えないマトリョーシカ仕様のマグボトル。
日本円にして1500円程度なのでライト土産にも丁度いい※1
「お金払うからマトリョーシカ買ってきて!2000円位のでいいから」と頼まれたならしょーもないレベルの安物マトリョーシカを買うよりここでマグを買って帰る方が余程気が利いている。と思う。


しかしスタバってのは店内の作りも店員も客層も、世界のどこの店に入っても似たりよったりなのなのが凄いね。良くも悪くも



下から二段目に例のアイテム
MとLの2サイズ展開

そして似たりよったりな客層



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※1 日本のロシア物販サイトでも購入できるがここで買う三倍くらいする。送料込みで5000円位。次に行くときには代理購入を受け付けようかしら一個3000円位で

3.12.2017

二代目シンボルツリー植樹

72回目の東京大空襲の晩から空けた翌日、枯死してしまった夏櫨に代わる新たなシンボルツリーを植樹。
高さ約180㎝と先代の夏櫨よりやや小柄だが株立ちの幹はしっかりと太く、特徴の一つである白樺に似た樹皮もよく確認できる。




暑さや乾燥に強く病気にも丈夫な低木の落葉樹、という条件で探して該当した数少ない樹種の一つがアオダモ。先代が枯死した原因は定かでないが、猛暑にやられたのだとすれば選定にあたってこの条件は外せない。今回は根乾き対策で土も増量し土壌改良も徹底。これで駄目ならば、次に植えるべき木は禁断の木といわれる竹くらいしかないねえ。