1.09.2017

おろしや国一週間(2)12月10日 シェレメチエボ空港からモスクワ市内へ

成田空港を夕方に出発したアエロフロート便は10時間後にモスクワ郊外のシェレメチエボ空港に到着。9時間で着くヘルシンキに次いでモスクワは二番目に日本に近い欧州であったりする。時差は6時間。

大韓航空、パキスタン航空と並び格安御三家として知られるアエロフロート、そしてアエロフロートといえばシェレメチエボ空港。パッカーに馴染み深いこの空港はこれまでに乗り換えで何度となく利用したものの、入国ゲートをくぐるのはさすがに今回が初めて。

日本からの北回り欧州便が現地に到着するのはほぼ夜になるので、初日のホテルだけは出発前に押さえておくのが吉。この日のモスクワ到着も22時で外気温はマイナス10度。ホテルへ直行する他にすることはない。

いつもは横目に見ていた入国口へ初めて並ぶ

中日ドラゴンズでなくてディナモモスクワのオフィシャルシップが空港内に。UEFAファン必見

おおよそ先進国に分類される国の首都であればほぼ例外なく電車かバスによる空港から都心へのダイレクトアクセスが整備されているので、余程大荷物を抱えているのでもない限りべらぼうに高いタクシーを使う必要などない。
果たしてシェレメチエボ空港にも市内直結の特急「アエロエクスプレス」が乗り入れていて、旅行者はこれかあるいは空港外に停留場がある乗合バスで市内にアクセス、そこから地下鉄に乗り換えてホテルへ向かうのが一般的なルート。
最も安上がりなのは乗合バスだが、少なくとも一時間以上かかる上に到着地は郊外の地下鉄終点駅近辺であることを考えると、およそ40分程度で都心の緑のメトロ二番線ベラルースカヤ駅に直結しているベラルースキー駅までノンストップのアエロエクスプレスを利用するのが最も便利。乗り合いバスに比べれば随分高いがそれでも一般席で420ルーブル。当時のレートはやや円安で1ルーブル=2.3円程度だったが、それでも千円にも満たない。

どの空港でも到着ロビーを歩けばタクシーはどうだと声をかけてくる輩がいる※1が、連中は例外なく白タクなので相手にしてはいけない。正規のタクシーならタクシー乗り場に車を停めれば客の方からやって来るから客引きなどする必要はなく、タクシー乗り場で客待ちできないモグリ連中だからわざわざ客引きをしているのだ。客引きについていってはいけないのは歌舞伎町に限らない。いきつくところはどちらも同じぼったくりだ。
(白タクに限らず、わざわざ向こうから近寄って来る人間には必ず何か下心があると考えていい。まともな人間は見知らぬ外国人に構っているほど暇ではない※2)

はたしてここでも藪蚊のように寄って来る白タク運ちゃんズをニェットニェットと追い払いつつ早足で到着ロビーを抜け、天井から下がっている案内板に従って都心への特急乗り場へ急ぐ。


Train to Moscowの表記に従って進む。英語表記の有難さはこの後で身に沁みて分かる
巨大マトリョーシカ
の裏は土産屋。店番のお姉さんやる気なし

英語表記のスタバを右に曲がればすぐアエロエクスプレスの改札。奥に見える赤いのが自動券売機
アエロエクスプレスの車内。欧州の長距離列車は漏れなく新幹線に勝る。理由はのちほど

ロシアにしてはやたら清潔で快適なアエロエクスプレスはほどなくしてベラスースキー駅に到着し、小雪の舞うホームを抜けてべラルースカヤ駅を探す。

「地下鉄入口の目印はMマーク」という予備知識は仕入れていたもののどこを見てもそれらしきマークが見当たらない。乗り換え口の案内板もないこの不親切さはいかにもロシア。ここで早くも乗り換えに迷うが、メトロ入口をさがして駅の外をうろうろしているとこの寒空に昏睡している酔っ払いを発見。ロシアは酔っ払いもおそろしや

べラルースキー駅前。本当はメトロに乗り換えるのに外に出る必要はない

酔っ払いもしくは死体。放置して何やらしゃべくってる警官もおそろしや

結局、アエロエクスプレスのホームを出てすぐ左側にある不愛想な木のドアがメトロ入り口であることが分かった。頼むから国際空港直結の特急から乗り換えるメトロの入り口くらい英語で書いといてくれ。分からん

ホームを出て見える正面が駅出口でメトロ入口は左手。MマークはどうしたMマークは

モスクワ地下鉄はアエロエクスプレスの新しさに比べやたらと年季が入って古めかしいが、驚くのはその運行本数。東京メトロなら7、8分に一本がせいぜいの土曜日の深夜という時間帯にもかかわらず、3分とおかず次から次へとやってくる。ラッシュアワーの山手線並。何だかすごいぞモスクワのインフラ

モスクワ名物、異常に長いエスカレータ
ベラルースカヤ駅ホーム。使い古したリモワのスーツケースのような地下鉄車両

深夜の寒空にスーツケースを抱えてホテル探しに右往左往という事態は避けたかったので、とにかく地下鉄駅から近く見つけやすい事を第一に選んだ結果、予約したのは二番線マヤコフスカヤ駅にほど近い北京ホテル。スターリンが北京でソ中友好条約か何か結んだ記念すべき年にオープンしたのがその名の由来とのこと。
予約サイトで見る限りではスターリン様式で非常に目立って見えたこの北京ホテル、果たしてマヤコフスカヤ駅を出るといきなり真正面にそびえ立っていて受ける。こりゃ迷いようがないわ



出入り口ドアを開けて左手にどどんと北京ホテル
右手にどどんとクリスマスツリー
駅名の由来の詩人マヤコフスキーの像。実は芸術先進国のロシア、詩人の地位は日本のそれより遥かに高い

スターリン時代の建物だけあってさすがに建物や設備の古さは否めない北京ホテルだがパッカー上がりには十二分に快適。外資の大型ホテルに比べれば値段も随分とリーズナブルで空港からのアクセスも極めて良好、初めてのモスクワの宿としては当たり。


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※1 北京の白タク運ちゃんズは「ホイッチ!ホテー!」と連呼。Which hotel?を意味するものと思われる
※2 経験上唯一の例外はシリア。道を探してうろうろしていると通りがかりがどうした何を探しているのかと声をかけてきて、こちらがアラビア語を解さないと分かると英語が話せそうな人間を探して連れてくる。そして何の報酬も求めない。かの国ではこんなことを何度も経験したが、これは例外中の例外。同じアラブでも外国人と見れば金を巻き上げることしか考えていないモロッコのような国もある。こういう観光客ずれしきった国では人々との触れ合いなど期待するだけ無駄



1.08.2017

階段を白くする理由

意識的に一階は白基調で色数を少なくするようにしているが、今回はその一環として階段を白で塗装することとした。清楚でおぼこい雰囲気を漂わす白木の階段をいきなり大胆に塗ってしまうのは流石に躊躇するが、我が家の階段は既に家主によって踏板を久米蔵色で塗られている他、よく見れば傷やら汚れやら7年の月日を伺わせる年季の入ったいわば熟女。お色直しにさほど抵抗はない。
塗るのは踏板でなくそれを支える側桁。これを白く塗ることで一階の白基調を強調するとともに階段自体の存在感を弱めるのが狙い。
階段は基本的にデッドスペースであり、デザイン上のハイライトとなるような凝った造形、またはLWH003のように家の中でシンボリックな位置づけにあるなら別だが、我が家のような何の変哲もない直階段の存在感などないに越したことはない。またその方が部屋もより広く感じられるのではないだろうか。集成材なので木目を塗りつぶしてしまう勿体なさもない。

というわけで12月の週末を使って工事。事前のマスキングと事後のマスク漏れの後始末に意外に手間を取ったものの、塗装作業それ自体は簡単な部類。


色はアトムハウスペイントの水性グレーホワイト。この色につや消し色の設定はないので、仕上げにつや消しのニスを塗っててかりを抑える。

現在の我が家の巾木や窓枠に使用されている色はミルキーホワイト(画像右側に少し見えている色)。追加塗りは既存の色に合わせるのが原則なので一度目の塗りには同じミルキーホワイトを用いてみたものの、ホワイトの中でも自己主張が強いこの色は漆喰の白壁に溶け込まず浮き上がってしまう。漆喰のホワイトは鉱物である消石灰の色なので元々無機的でクールなホワイトであり、黄色みの強い有機的なホワイトであるミルキーホワイトとの相性は決して良くはない。やってみて初めてわかるこの誤算。
またこのミルキーホワイトは踏み板の濃茶と組み合わせるとややカントリーな雰囲気が出てしまうことが分かった。別にカントリー調は目指してないのでこれも誤算。巾木や窓枠といった小面積に塗られる限りではそれほど目立たなかったミルキーホワイトの違和感が、階段の側桁のような大面積に塗られて一気に前面に出てきてしまった格好だ。

考えた末に二度塗り目は思い切ってグレーホワイトに変えてみたところ、これが大正解。クールで陰のあるこのホワイトは漆喰の白と馴染みがよく、踏板の濃茶とも実によく合う。
気を良くして階段横の窓枠もグレーホワイトにしてみたが、やはりミルキーホワイトの窓枠より背後の漆喰によく馴染む。明るい色の床に合わせるならミルキーホワイトが合うかもしれないが、濃色の床や漆喰に合わせるなら断然グレーホワイトだ。
出来れば現在ミルキーホワイトで塗られている巾木や窓枠をすべてグレーホワイトで再塗装したいところだが、面倒くさいので多分やらない。

工事が終わってみれば一応は目論見通り、白く塗られた側桁は白い壁に溶け込むことで存在感が後退し、上り下りする度に足元が何となく広くなったようにも感じられる。
素人仕事のクオリティはご愛敬で近寄ってみれば粗は目立つものの、遠目や暗がりなら…まあいいかこれで。

2016年の家づくりはこれにて終了。2017年も計画だけはいろいろと。


1.07.2017

バックパッカーからフラッシュパッカーへ

バックパックこそ背負っていなかった(当時はショルダーバッグメイン)ものの、若い頃の旅のスタイルはほぼバックパッカーのそれに等しかった。
費用節約の為に夜行列車を多用(もちろん三等)し、移動は出来るだけ徒歩。交通機関に複数の選択肢があれば躊躇なく最安なのを選択。宿は予約せず現地に到着してから安い部屋を探す。基本は町はずれにあるユースホステルかドミトリー、そこで得た情報をもとにまた動く。パン齧って水飲んで、距離を競うようにとにかく移動する。我ながらよくやったものだ。

そのような典型的な貧乏旅行スタイルも今は昔、ネット普及の恩恵で、今時はバックパッカーであってもそのスタイルは随分とスマートになっている。
まず宿は足でなくネットで探す。航空券はもちろん、長距離列車も長距離バスもチケットはネットでおさえる。ガイドブックは持たず、必要な情報は随時ネットから引き出して最短距離で移動。必ずしも安さのみを追求するのでなく、時間を節約するのに金は惜しまない。
このようにネットワークを駆使して動き回る旅行者を近年ではフラッシュパッカーというらしい(フラッシュとは掌で光るスマホを指すのだろう)。であるならば例外なくスマホを手にしている今時のパッカーは皆それだ。

年を取ってショルダーバッグがスーツケースになり、三等寝台が二等ときどき一等寝台になり、郊外のユースが都心のホテルになるなど自分の旅のスタイルも随分変わってきたが、一番変わったのはやはり旅そのものの組み立て方。
明日の行き先は前日の晩にネットで情報を集めて決める。ホテルの部屋もその時におさえる。列車や航空券のチケットもネットから予約する。こうするためにかつては「PCつき」の条件でヒットするホテルを渡り歩いていたが、誰もがスマホを持つ今となってはそれを売りにするホテルもなくなった。代わりに当たり前のようにWiFiを飛ばしている。その点でも随分と便利な時代になった。

実際、ネットの普及がどれだけ旅行者を自由にしフットワークを軽くしたか分からない。我々はどこにいても必要な時に必要な情報をその場で引き出し、その場で好きなように組み合わせて旅を続けることができる。そこがいわゆる観光地でないところであっても興味を持てばその場で情報を調べ、行き方を検索して実際に行ってみることができる。スマホがあればもはやガイドブックすら必要ない。

そう考えるとパック旅行のメリットって今やほぼないのではないだろうか。楽といえば楽かもしれないが…
そうか楽か。なるほど。楽がメリットか。なるほどそれは確かに。

12.27.2016

おろしや国一週間(1)ビザを取る

日本のパスポートが高値で取引されている(らしい)のは、それさえあれば世界中の大体の国へはビザなしで渡航できてしまうから。使い勝手が極めていいのだ。当たり前のようで当たり前でないこの事実は、日本という国の国力と長い間かけて培った国際的な信義の賜物。日本人ならそう悪いことはしないだろうし入れてやってもいいかという信用の表れだ。先人に感謝。
ちなみに某国のパスポートを持ってビザなしで渡航できる先進国は、かの国が世界第二位の経済大国となった今でも殆どない。どういうことなんでしょうねえ(すっとぼけ)

その日本もロシアから見れば敵の大将の子分であり、太平洋に蓋をしている目の上のたんこぶ。当然ジャパンパスポートの威光は通用せず、かの国に渡るには今でもビザの取得が必要。
それも結構厳しく、個人で取得するには滞在予定ホテルの発行した予約バウチャーの提出が必須。ある程度のホテルであればバウチャーを発行してくれるのは後程分かったことだが、ビザ発行にもそれなりの日数が必要であったこともあり、今回は素直に金で解決。
すなわち、ビザ取得代行業者に依頼する。

ロシアビザセンターにネットで申し込んでからパスポートと写真一葉を郵送。取得を急ぐほど費用は高くなるが、自分は「二週間待ち・期間一か月・再入国可能」ビザを選択し8,000円を指定口座に振り込む。
待つこと二週間、ビザが印刷されたパスポートが無事返送されてきた。


*****
ビザ取得といえば印象に残るのがシリアのビザを取った時のこと。
もちろん今の国家崩壊したシリアではなく、今は亡きアサド大統領独裁のもと、国民は言論の自由はなくとも平和と秩序と繁栄を享受していた社会主義国の優等生であった頃の話。※1

シリア大使館は赤坂の奥の閑静な高級住宅街にあった。蝉しぐれだけが響き渡る夏の午後、汗を拭きながら地図を片手に坂道を上りたどり着いたその大使館は、小国の常で大使館とはいっても個人の豪邸といった趣。その門をくぐり玄関のチャイムを押して来訪の用件を告げると、ややあってリモートで玄関ドアが解錠された。
中に入り、インターホンで指示された通り薄暗い廊下の突き当りまで足を運ぶと木製のドアをノックする。
ドアを開けると十五畳ばかりの部屋。正面奥にはマホガニーと思しき大きな木製の机があり、その向こうで眼鏡をかけたグレーのスーツ姿の中年と呼ぶには少し若いくらいの女性が足を組み一人で書類を書いている。見たところ日本人のようだが、いかにもキャリアウーマン然としたてきぱきとした物腰はアナ・ウィンターを彷彿させる。

改めてビザ申請の用件を告げ、毛足の長い絨毯の上を歩いて机の前に進むと持参した必要書類を手渡す。
おおまかな日程表と職場上司の人物推薦状、それとシリア出国後にイスラエルには入国しないという誓約書。
書類は職場のPCで仕事の合間に作成しプリントアウトしたもので、推薦状は自分で書いて仲のいい先輩社員にサインだけしてもらったものだ。フォームは全て英語が指定されている。

一連の書類にさっと目を通したアナは言った。

「大体いいんですけどこれ、この誓約書は少し問題があるので書き直してもう一度提出してください」
「何かおかしいですか」
「ここのところ、State of Israelと書いてありますね」
「はい」
「あそこは国ではありません。認めてませんから。Israelとだけ書いてください」

淡々とした声とこちらを一瞥した目には何の感情も認めることは出来なかった。
魚は空を飛べませんから。まるでそう言うが如く、ごく自然で当たり前のものといった口ぶりでアナはそう言った。

ああ、彼らにとってイスラエルは今でも仇なんだ。イスラエル人は仇敵なんだ。
そういえばビザ発行条件の一つに「イスラエルの入国履歴がないこと」があったことを思い出し、その憎しみのない淡々とした口調に逆に日本人には想像もつかないアラブ問題の根の深さを垣間見た気がしたものだ。


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※1 ろくでなしのイスイス団が支配する世界一危険な魔境シリアとなり果てた今となっては信じられないことかもしれないがシリア人は本当に旅人に親切で善良で、これまで訪れた28か国地域の中でも人間の印象はダントツの一番。ロシア?うーん最下位争いかな笑

12.26.2016

聖夜の惨劇

佐川もロクなもんじゃないなあしかし。佐川がっていうかこの配達員の問題で幸い我が家を担当している配達のおっちゃんはまともな人なのだが、佐川といえば自分自身も被害を受けたことがあるのでやはり印象は宜しくない。40数万円相当の車のパーツを紛失してそのまんまばっくれようとした千葉の佐川お前んとこだよお前んとこ。業を煮やして自ら京都の本社に掛け合って弁償させたからいいようなものの、紛失が明らかになってから何度連絡してもあちらからは電話の一本も寄こさなかったし、多分本気でこっちが諦めるのを待つつもりだったんだろうな。あれ以来佐川を利用したことは一回もないのは言うまでもないが、発送元が佐川使うんじゃ仕方ないしなあ。
まあそういう業界もあるってことで。
しかしよくなくしたよなああんなでかい荷物を。え。


で本題。
むかーしむかし、あるところに。
小さな家に一人で住んでいる男がおったそうじゃ。

あるクリスマスの晩のことじゃった。
男はキッチンに立って洗い物をしていたそうじゃ。

そうすると突然、彼の足元から突然ジョバジョバジョバジョバジョバジョバとあり得ない、容易に想像はつくものの信じたくない音が響きわたったそうじゃ。

恐る恐るシンクの下を覗き込んだ男の目に映ったのは、思いっきり外れた排水パイプとそこから滝のように景気良く噴き出す排水であったそうな。




母さんこれがあのオネガ湖ですかっていうくらい水浸しになったキッチンの床を前に男が立ちすくんでいると、
「旦那」
「旦那」
「あっしらをお使いなせえ」
「お使いなせえ」

「おお、お前らは。そろそろ断捨離しようと考えていた貰いもの粗品タオル七人衆でねえか」


「あっしらこそこういう時に役に立つんでさあ。さあさあ」

「さあさあ」

排水が外れているのでシンクで絞るわけにはいかない。

男は貰い物タオルで片っ端から拭いては洗濯機にぶちこみ、拭いては洗濯機にぶちこみを繰り返し、七枚を費やして漸く床の腐食(恐らく床板の下の下地まで濡れてるしただでは済むまい)を最低限に抑える程度まで水気を拭き取ることができたそうな。

「お前らがいてー助かったのう」

「お安い御用でさあ。あっしらもまだまだいい仕事をs」ゴウンゴウンゴウンゴウンゴウン

男はこいつらを断捨離しないでいて助かったなあと一人ごちながら洗濯機のスイッチを押し、ゴウンゴウンと回る音を聞きながら漸く眠りについたものの、

すっかり寝不足となったせいで翌朝は危うく遅刻するところだったそうじゃ。



はあ~めでたしめでたし。
全然めでたくない!ああむかつく。


12.24.2016

実用的おろしや国紀行(序)

ウェブログとただの日記帳との違いは実用性の有無にある。
有名人がアメブロあたりでよく書いている、やたらと改行だけ多くて内容は何にもないしょーもない取り留めもない日記。
あれに価値があるのはその有名人の存在自体に価値があるから。
あれ食った、これ飲んだ、美味しかった、岩盤浴行った、リラックスした、明日も頑張ろう!終わり。
こんなしょーもない内容でも彼らの日常を知りたいというファンにとってみれば価値がある。なのであれはあれでいい。
しかし我々無名の一般人、しかも匿名の一般人のそれなど誰にとっても何の意味も価値もなく、正しくチラシの裏にでも書いてろという代物。その辺の顔も素性も知らない姉ちゃんがあれ悩んだこれ悩んだ青空がきれいだったサムゲタン食って美味かったなんて知らねえよそんなもん。一般に公開するのであれば少しでも何かの役に立つ内容でなくてはやる意味がない。
要するにポジショントークが求められるということだ。例えば建築事務所を営む観点から家について語る、医師が医師の目から日々の生活について語る、税理士の目から日々のファイナンスについて語る、何らかの難病に苦しむ人が闘病生活について語る、あるいは母親が日々の子育てについて語る。そういう内容であれば必ずや誰かにとって得るものがある筈だ。
自分としても仕事中心に語ればもう少し特定の層の興味は惹くことは出来るのだろうがサラリーマンの悲しさ、守秘義務も多い自分の仕事については多くは語れない。壁に耳あり、本人バレしたらただでは済まない。
なのでカーサ・エゴイスタのタイトル通り、このブログでは「一人暮らしなのに家を持った男」「しかも建売じゃなくわざわざ注文で超小さい家を建てた男」というポジションから、何を考えてそうしたのか、またそういう男は何を価値あるものと考えて超小さい家の一人暮らしを楽しんでいるかなどを、自分と同じように家を建てることを考えてこのブログを目にした独身者をディスプレイの向こうに意識しつつ書いていたりする。時々脱線するような気もするが細かいことは気にしない。
(追記:S氏のクライアントであるという素性がはっきりしているだけでも、S氏の家に住む人が綴るブログはS氏との家づくりを検討している人にとって価値がある情報と言えるだろう。と言い訳)

おろしや国から帰還してその旅路を上げるにあたっても同じく。
自分がネットの情報に助けられて旅をすることができたように、今でも決して情報が豊富とはいえず、また日本人からすれば少なからず風変わりなかの国への渡航を検討している人にとり少しでも参考となるように、単に画像をパラパラ挙げて綺麗だったー楽しかったーで終わらずに実用的・実践的な内容とするよう心掛ける次第。
まあハワイあたりだったら身近だし情報も豊富だし「楽しかったー。美味しかったー。終わり」でいいんだろうけどね。(偏見)

レニングラーツキー駅前

12.13.2016

おそろしや国通信


(ピーッザッザッ)えーこちらペトロザボーツクのオネガ湖畔でs(ザーッ)えー冬は湖が凍るので港は閉鎖でキジ島には行けないそうです確かに湖カッチカチやがな湖カッチカチやがな大事なことなので二度言いまし(ザザッ)仕方ないから湖上を散策しましてェー列車が出るまで時間潰してま(ガガッ)あー現在マイナス15度ォー体感温度はーマイナス22(ザピッ)えー今回の旅ではー(ザザザッ)装備品の課題が見つかりましたーそれは手袋ォーとにかく手がヤバい手がヤb(ザザッザッザーーーッ)

12.10.2016

おろしや国へ

今日から遅い夏休みで初の訪露。
モスクワの本日は最高マイナス2度最低マイナス10度と幾分暖かい。キジ島に向けて出立する月曜は最高最低ともそれぞれ10度も低下する見込みというから恐ろしい。おろしや国はおそろしや国

今回より旅の相棒となるメインバッグ(スーツケース)・サブバッグ(カメラバッグ)は顔ぶれが一新、合わせてストラップも更新。新製品を多数投入したカメラ回りはシステムとしての使い勝手の向上に大いに期待。期待通りであったなら帰国後褒めずにいられないレポ、期待外れであったならこき下ろさずにいられないレポ。いずれにせよアウトドア派カメラおやじは必見。さて時間だ


12.09.2016

流行の先端?

satosatoで採用された洗面台に実験用シンクを使うアイデアがPinterestの事例でも取り上げられている。
実用的でおしゃれ!『実験用シンク』で快適な水回りにしよう!

記事は今年の9月、satosato完成はその3年前。
時代の先を行ってるじゃないか。そのうち「独身でも家を建てて快適に住もう!」なんて記事が組まれたりするかもしれない。とんがってるね

12.08.2016

試される大地

近所の不動産屋に張り出されている物件ビラは通りがかるたびにチェックしている。もちろん買うためでなく、時々出てくる面白い物件をチェックして、自分だったらどのような家を建てるだろうと考えを巡らすという趣味。
例えばこんな土地にガレージハウスを建てるとしたら


S氏に挑戦

こういう極端な土地であれば木造で十分なスペースと強度を確保するのは難しいだろうからRC壁式構造しかない。台形の家にして西側に大きく開口部を取り一階は小型車一台分のガレージ。一階はそれでいっぱいいっぱいなので玄関は二階。南側に余った土地にらせん階段を設け、各階へのアクセスはすべて外からとする。
らせん階段は大物家具は通せないので家具は各階の西側に設けた大きく開く窓から搬入。予め壁に滑車を設けておき、ロープで吊ってするすると。
容積率300%なので四階建てで行ける。建坪6坪延床24坪、四階建て屋上つきのなかなか魅力的な家ができる筈だ。ただし年寄りが住むにはきつい家だろうけど。
求む挑戦者。


12.06.2016

LWH003はライトウェイトハウスのスタンダードとなるか

S氏に誘われて11月最後の週末にLWH003を訪問。
LWH003:立川の家はLWH002から五年ほどの間をおいて建てられたLWH003シリーズ最新作だが、完成からほぼ一年を経過したところを訪問した今回でLWHの新たな標準形が見えてきた。



確かに近い色

LWH003の外壁は家族の一員であるロシアンブルー(名前はジジ)の毛並みに合わせたグレー色。周囲の家と比べてもコンパクトなサイズと相俟って控えめな佇まいのLWH003だが、中に入ればその印象はいい方向で裏切られる。
ドアを開きモルタル仕上げの玄関をあがるとほどなく階段。LWHの基本間取りではデッドスペースである階段は端に寄せて出来るだけ大きなモノスペースを確保するのを優先していたが、LWH003ではそれをあえて家の中央に据えることで、大空間の代わりに廊下やドアで仕切らなくとも周囲に自然に分けられる複数の空間を持つようになった。確かに複数の住人が住む家としてはこちらの方が有効である場合も多いだろう。
LWH003では南側の空間の真ん中に造作したキャビネットを置き、ご夫婦と小さな子供一人に丁度いいサイズのダイニングとキッチンとの二つに分けていた。自由度が高く、生活環境の変化に応じどのようにも出来る。




二階建てである筈のLWH003の二階からはさらに上に向かって階段が伸びていて、その先にはロフトというより小部屋と呼ぶのが相応しい十分な高さと広さを持ったロフト階が広がっている。
高さ1mにも満たないLWH002の物置ロフトとは違って立派に部屋として機能する広々としたロフトの恩恵で、LWH003は登記上の床面積こそLWH002とほぼ同じだが実際にはずっと広く感じられる。
というか事実広い。

コンパクトな外観からは想像がつかないまさかの三層、その要となる存在感のある階段がこの家のアイコン。添えられた目隠し用の杉材の縦格子が空間を上下に長く見せ(縦縞の服は着る人を長身に見せるのと同じ)、内部のスケール感を引き立たせるのに一役買っている。


ちゃんとした階段がロフトまで続く

裏から

ロフトまわりのダイナミックな造形とこちらを見つめるアルパカ

天窓はロフト階と二階のあかりとり

ちゃんとしたロフト階のちゃんとした窓

リビング天井。抑え目な照明がいいセンス

内装はS氏お馴染みの無垢無塗装の杉材。
杉を白木のまま用いた清楚で簡素でどこか和を感じさせるスタイルはS氏が得意とするもので、利休好みならぬS氏好みと言っていい。
足すのは容易だが削るのは難しい。物足りなさを感じるぎりぎり手前で止められている抑制の美がS氏の手掛ける家の特徴でもあり、白木の杉だけが持つ清浄な雰囲気は確かによくマッチしている。この風情を活かすならば白木は白木のままで手を加えず自然に使い続けるのがいいだろう。どこかのなんとか002の家主のように階段(あれは杉ではないが)を塗るような余計なことはしない方が無難。しかもあいつまた塗ったらしいぜ(えっ)


床材は厚さ一寸幅七寸の堂々たる杉板。子供の手と大きさの違いに注目

まとめると、控え目な外観からは意外なほど広い内部空間を自然かつ合理的に分け、内装は楚々とした杉材仕上げで床には厚さ一寸幅七寸の杉板を贅沢に使い、住人は小さな子を含む家族とペット。
外観・内部構造・内装から住人に至るまで、これこそS氏の唱えたLWHの標準形となるべき家ではないだろうか。一作目二作目と本来の想定と違うおたくの独身者用の家が出来上がってしまい妙な色が付きかかったLWHシリーズだが、三作目にしてようやく標準的な作例が出来てS氏も愁眉を開いていることだろう。実例ができたことで家族が住む家としてのイメージが湧きやすくなったこともあり、これで悲願の三桁達成に向けて受注が加速するに違いない。多分ね



LWH003ご主人が手ずから設置した温風器ユニット。パクりたいアイデア


なおLWH003の家づくりは典型的な夫唱婦随型。DIYにも前向きなご主人がこの家のイメージの源泉のようで、この点で婦唱夫随型のsatosatoとは全く対照的なのが面白い。satosatoではアイデアを出すのは主に奥様で、旦那様はそれを承認しつつ年末の忘年会でPPAPをやるという役割分担。世間一般ではどちらが多いのかしらん